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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2018年5月24日木曜日

ビブリオパドルに参加しました!




 ビブリオパドルに参加しました。東京・国分寺市の絵本・児童書専門店の「おばあさんの知恵袋」に23日、絵本好きの仲間が集いました。参加者がテーマに沿った絵本を持ち寄り、紹介し合います。今月のテーマは「わくわくすること(もの)」でした。参加者は8人でした。
 私が取り上げた絵本は「サンドイッチ サンドイッチ」(福音館書店)です。サンドイッチのつくり方を、一つひとつ手順を追って丁寧に描きます。ふわふわパンを用意して、バターをたっぷり塗ります。まずレタスをのせて、次は真っ赤なトマト。それから、チーズにハムにゆで卵。読む人をわくわくさせながら、豪華なサンドイッチが完成します。
 今回取り上げられたそのほかの絵本は、「はじめてのキャンプ」(福音館書店)、「どろぼうがっこう」(偕成社)、「しりとり(こどものとも2018年6月号)」(福音館書店)、「よかったねネッドくん」(偕成社)、「ほしのはなし」(ポプラ社、品切)、「ハンダのびっくりプレゼント」(光村教育図書、絶版)、「The Book with a Hole」(Tate)でした。
 今回も個性的な絵本がそろいました。「ほしのはなし」は、ページが横、そして縦に広がり、両手で持ちきれないほどの大きさになります。夜空の広さが1枚の大きな紙で表現されています。通常のスタイルを逸脱したこの絵本の作者は北野武。残念ながら、現在品切になっているようです。「The Book with a Hole」は英語版が紹介されました。本を開くと大きな穴があります。その穴を中心に描いた、遊び心いっぱいの絵本です。(店主)

2018年5月23日水曜日

【本の紹介】すずちゃんののうみそ




 すずちゃんは保育園に通っていました。年長のゆり組さんになっても、すずちゃんはおしゃべりすることができません。スプーンもうまく使えません。急に泣いたり笑ったり、噛みついたりすることもありました。すずちゃんは脳に障害のある子どもだからです。
 でも、保育園のお友だちはすずちゃんと仲良くしてくれました。すずちゃんのママはそのことがうれしくて、すずちゃんが卒園するとき、お友だちに「すずちゃんのなぞ」(障害)についてきちんとお話したいと考えました。まず、お手紙を書きました。お手紙もいいけど、もっと楽しくしたいと思い、それを紙芝居にしました。紙芝居は多くの人に喜ばれました。そして、その紙芝居をもとに、この絵本が生まれました。
 すずちゃんは実際に障害を持って生まれてきた子どもです。すずちゃんの障害は自閉症スペクトラム(ASD)という名前がついています。また、すずちゃんには重度の知的障害もあり、小学2年生になっても発達段階は1歳半程度だそうです。
 この絵本は、すずちゃんのようすとともにASDの主な特徴を描いています。絵は丁寧に描かれ、心地よく感じられます。これらの特徴はすべてのASDの人に当てはまる訳ではありません。でも、すずちゃんのような障害を持った人について理解するよい手立てになると思います。障害について理解がさらに深まり、障害のある人をもっと身近に感じるようになるでしょう。障害者を普通の隣人として受け止めることこそ大切だと思います。(店主)

すずちゃんののうみそ
文 竹山美奈子
絵 三木葉苗
監修 宇野洋太

岩崎書店
本体1600円+税
2018年1月31日発行

2018年5月19日土曜日

【本の紹介】黄金りゅうと天女




 沖縄に伝わる昔話の絵本です。背中に天女を乗せた黄金色の竜が、海賊に襲われた島を救います。
 沖縄島の那覇で若い男女が夫婦になりたいと願っていました。でも、男は侍、女は百姓の生まれで、身分が異なり願いは叶いません。ある月夜の晩、二人は天女のお告げに従って舟に乗り、近くの慶良間(けらま)諸島の慶留間(げるま)島にたどり着きます。やがて二人にかわいい娘が授かり、可愛(かなー)と名付けられました。
 可愛が7歳になる誕生日、不思議なことが起こります。可愛は、慶留間島のとなりの阿嘉(あか)島から現れた黄金竜とともに姿を消してしまいます。やがて何年かが過ぎ、海賊が慶良間島や阿嘉島を襲います。島を救ったのは、竜巻とともに現れた黄金竜でした。島の人々は黄金竜の背中に天女を見たといい、その天女はきっと可愛に違いないと思って手を合わせます。
 絵を描いた赤羽末吉は「絵本よもやま話」(偕成社)でこの作品に触れながら、沖縄の色の美しさに強く感動したことを紹介しています。それにもかかわらず、この絵本の色使いはむしろ抑制されているように感じられます。登場する竜も線画で描かれ、黄金色といわれながら彩色はなく、とても控えめな存在です。でも、だからこそ、お話の美しい語り口が生きてくるように思います。一方、この絵本の最初の見開きページで、島々が黄色の海に囲まれていることに目を見張りました。南の太陽に光輝く海が、そこに描かれています。本書は1974年に銀河社から発刊された作品を復刊しました。(店主)

黄金りゅうと天女
代田昇 文
赤羽末吉 絵

BL出版
本体1400円+税
2018年3月20日発行

2018年5月18日金曜日

【本の紹介】かべのむこうになにがある?




 一人ひとりの心の在り様で社会は大きく変わります。大切なことは、この絵本が描くように、私たちが希望を持ち、自分自身を信じることだと思います。
 動物たちが大きな赤い壁に囲まれた世界で暮らしていました。知りたがりのねずみが壁の向こうに何があるのか疑問に思いますが、ねずみ以外にそんなことを考える動物はいませんでした。
 ある日、壁の上から空色の鳥が飛んで来ました。ねずみは鳥に乗って壁を飛び越えます。そこにはたくさんの色であふれる、夢のような世界がありました。ねずみと鳥は元の世界に戻ってきますが、不思議なことに壁がありません。鳥が教えてくれました。「そんなものは はじめから なかったのさ」
 うつくしい絵本です。絵はどのような手法で描かれたのかわかりませんが、落ち着きのある色の組み合わせが魅力的です。表紙カバーをとると、うれしいサプライズが待っていました。(店主)

かべのむこうになにがある?
ブリッタ・テッケントラップ 作
風木一人 訳

BL出版
本体1600円+税
2018年3月10日発行

2018年5月16日水曜日

【本の紹介】しんやくんのマラカス(こどものとも年中向き2018年6月号)




 友だちづくりを応援してくれる絵本です。しんやくんは駆け足で家へ帰ると、おかあさんに「きょうね ようちえんで おともだちができたんよ」とうれしそうに話します。おかあさんもうれしそうです。絵本の文章は福岡の言葉で語られます。
 しんやくんは幼稚園で、ほかの子どもたちが友だち同士で遊ぶ中、一人お砂場にすわって花の匂いをかいでいるような子どもです。しんやくんの幼稚園にはお砂場の上に藤棚があり、きれいに藤の花を咲かせていました。
 しんやくんは今日の朝も藤棚があるお砂場に行きました。すると向こう側に、しんやくんみたいに花のいい匂いをかいでいる子がいたのです。お昼ご飯を食べた後、しんやくんは小さなゼリーのカップを4つ持ってお砂場に向かいます。カプに砂を入れて2つ合わせて振れば、マラカスのようにいい音がします。朝の子も来ていました。しんやくんはカップを2つ、その子にあげました。
 カップでつくるマラカスは「カシャカシャ」といい音がします。目をつむって「カシャカシャ」すれば、空からいい匂いもしてきます。二人の間の距離はだんだん短くなりました。何もお話はしなくても、二人はもうお友だちです。(店主)

しんやくんのマラカス(こどものとも年中向き2018年6月号)
石川えりこ さく

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月13日日曜日

【本の紹介】ねられん ねられん かぼちゃのこ(こどものとも年少版2018年6月号)




 やっぱりおやすみ前に読む絵本でしょうか。「ねられん ねられん」といっていたかぼちゃの子が、最後には「もう ねまーす」と眠りにつきました。
 扉のページから登場したのはおつきさん。ぺーじをめくると、「はやく ねなさーい」とかぼちゃの子を諭します。でも、頭にかえるさんが乗っていては眠れません。おつきさんが「どいて もらいなさーい」といういと、かえるは案外素直にどいてくれました。
 ところが、今度は背中にいもむしさんがくっついていました。次々に眠れない理由が出てきて、かぼちゃの子はなかなか「おやすみなさーい」が言えません。
 シンプルな絵と一緒に、ほのぼのとした会話が繰り返し続きます。毎日忙しく過ごす大人も、一日の終わりに読めばきっと癒されることでしょう。(店主)

ねられん ねられん かぼちゃのこ(こどものとも年少版2018年6月号)
やぎゅうけんいちろう さく

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月12日土曜日

【本の紹介】10才のころ、ぼくは考えた。(たくさんのふしぎ2018年6月号)




 作者の「ぼく」は10歳のころ、石を集めていました。気に入った石は鍵付きの箱に、大切にしまっていました。
 ぼくは石たちが好きでした。遠くに放り投げたり足で蹴ったりして石と遊んでいると、石と仲良くなれるような気がしました。
 でも、ぼくは思います。石はぼくのことが好きなんだろうか? もちろん、ぼくは知っていました。石が考えたり感じたりすることはない。それは何故でしょう。石には命がないから? では「命」って何? ぼくは石を見て、命や死、そして今生きている自分が存在していることの意味を考えました。そして、どこまでも続くぼくだけの世界を生きていこうと思いました。
 作者のぼくだけではありません。誰もが目の前にある自分の世界を生きていかねければならないのです。この絵本がきっと、それを後押ししてくれるでしょう。ぼくは哲学者になり、この絵本の文章を書きました。哲学者の文章は読み始めから読み終わるまで、読む人の心を離しません。文章にマッチした美しい写真も心を打ちます。(店主)

10才のころ、ぼくは考えた。(たくさんのふしぎ2018年6月号)
下西風澄 文
浅井美紀 写真

福音館書店
2018年6月1日発行
本体667円+税