ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2015年10月30日金曜日

【本の紹介】チーター大セール

チーター大セール
絵本館

高畠那生
 通りに小さな屋台のお店があります。店主のチーターが「ぼくのおみせはいつもひま」とぼやいています。お店では絵葉書や雑誌、色を塗るペンなどを売っているようですが、お客さんがなかなか来ないようですね。
 そこに一人のお客さんがやってきて店主に言いました。「あなたのくろいもようをくださいな」。さあ、それから奇想天外な楽しいお話が続きます。お店は大繁盛するのですが、店主のチーターはどうなってしまうのでしょう。
 大胆な色使いと大きく広がる構図の絵に引き込まれます。外国のような街並みが描かれ、こんなところを散歩してみたくなります。
 とぼけた表情のチーターは魅力的なキャラクター。おしゃれなお客さんが来てくれて、チーターもだんだんおしゃれになっていくみたいです。

2015年10月26日月曜日

【本の紹介】あーと いってよ あー

あーと いってよ あー
福音館書店

小野寺悦子 ぶん
堀川理万子 え

 声を出してみる。それだけでこんなに楽しく遊べることに驚いてしまいます。
 絵本に合わせて「あー」と言ってみましょう。上を向いて言ったり、下を向いて言ったり、両手を広げて言ったりすれば、「あー」がいろいろな形に見えています。
 口を叩いて言えばどうなるのでしょう。胸を叩いて言ったら、もっと面白くなりそうです。
 うれしい時や失敗してしまった時、怒った時、同じ「あー」でも違って聞こえるのは何故でしょう。
 最後は一番いい声で「あー」。蛙もうっとりしていますが、自分もうっとりしてしまうに違いありません。
 みんな一緒に「あー」と言えば、みんなと仲良くなれそうです。題名も素敵な絵本です。


2015年10月23日金曜日

【本の紹介】ハロウィーンってなあに?

ハロウィーンってなあに?
主婦の友社

作 クリステル・デモワノー
訳 中島さおり

 もうすぐ「ハロウィーン」です。今では日本でもすっかりお馴染みになったハロウィーン。魔女になったりお化けになったり、怖い格好をして街を歩き回る若い人たちが目につくようになったのはいつごろからでしょうか。
 私がハロウィーンで思い出すのは、チャーリー・ブラウンやスヌーピーが登場するアメリカ漫画の「ピーナッツ」。ハロウィーンの夜は、かぼちゃ畑から「かぼちゃ大王」が出てくると恐れられていたように記憶していますが、何のことかよくわからないまま、これまで過ごしてきてしまいました。
 そこで手にしたのがこの絵本。魔法使いの女の子、ビビがおばあちゃんの家に行き、「ハロウィーンって、なあに?」と聞きました。「じゃあ、教えてあげようね」とおばあちゃん。ハロウィーンの楽しみ方を教わったビビは、早速友だちを呼んで準備に取り掛かりました。
 おばあちゃんが「さあ、これからがお楽しみ!」というと、ビビたちの楽しいハロウィーンの夜が始まります。どんなハロウィーンになるのでしょう。決め言葉は、みなさんもうご存知ですね。
「おかし くれなきゃ いたずら するぞ!」

2015年10月16日金曜日

【本の紹介】はるにれ

はるにれ
福音館書店

写真 姉崎一馬

 広い草原に立つ一本のはるにれの写真集です。扉のページをめくると、季節は秋。空は青く、高く、そして雲がうっすらと広がり、黄金色に輝く草原との色のコントラストに心打たれます。
 淡い夕焼けに導かれてページを進めれば、季節は冬。すっかり葉を落とした枝が広がり、吹く風の音も聞こえてくるようです。草原は雪景色。でも、はるにれの木は誇らしげに立っています。雪の草原が見せてくれる、いろいろな表情を楽しみましょう。
 少しずつ、草原のようすは変わっていきます。すでに雪も無くなりました。春は一気にやって来ます。葉が茂る枝の間、木洩れ陽がまぶしい。一面緑の草原に、はるにれの木もうれしそうです。
 写真だけで構成された絵本です。めぐりゆく季節の中で、はるにれが何を考えているのか、想像してみるのも楽しそうです。


2015年10月15日木曜日

【本の紹介】わたしのひみつ

わたしのひみつ
童心社

石津ちひろ さく
きくちちき え

 主人公の女の子は、鉄棒が苦手です。でも、塀の上を猫みたいに歩けます。給食は半分しか食べられないけど、りんごだったら3つ続けて食べられます。鍵盤ハーモニカは上手に弾けないけど、知っている歌なら誰よりも元気な声で歌えます。そして、仲間はずれにされることがあっても、ありさんたちとはいつまでも仲良く遊べます。
 夜は怖くて、一人ではトイレに行けません。でも、キャンプのとき、星を見ながら眠るのは好き。星を見ながら願うことは、いつか空を飛ぶこと。そのとき、ひみつにしていた奇跡が起こります。
 のびのびと描かれた絵も素敵です。鮮やかな色の変化で夢の世界に引き込まれてしまいます。夢の世界を体験することで、子どもたちも健やかに成長していきます。
 女の子はちょっと変わった子なのでしょうか。きっと、そうではないでしょう。作者の石津さんは、この絵本の28歳の読者からお手紙をいただいたそうです。そこには「小さかったころの自分に読ませてあげたい」と書かれていたそうです。

2015年10月13日火曜日

【講演会】石津ちひろ「絵本のたのしみ ことばのたのしみ」

石津ちひろ講演会「絵本のたのしみ ことばのたのしみ」
石津ちひろ氏

2015年10月10日(土)午後2時
千葉県習志野市・習志野市民会館

 絵本作家・詩人・翻訳家としてご活躍の石津ちひろさんの講演会が、千葉県習志野市の習志野市民会館で開かれました。絵本や詩などご自身の作品を朗読されたほか、回文作りなどの言葉遊びも教えてくださいました。会場の参加者も、楽しいひとときを過ごすことができたようです。
 回文(かいぶん)とは、例えば「たけやぶやけた(竹藪焼けた)」などのように始めから読んでも終わりから読んでも同じ文字列のこと。石津さんは会場から出された「こすもす」をお題に、「にここすもすここに(二個コスモスここに)」という回文をあっという間につくってしまいました。
 石津さんは「言葉を楽しむことは、言葉を大切にすること」とお話されました。また言葉を大切にすることが「自分自身や友だち、そして人生を大切にすること」につながると話されています。
 笑顔が素敵な石津さんの絵本には、言葉を大切にする作者の思いが込められていることをあらためて感じました。


2015年10月9日金曜日

【本の紹介】よあけ

よあけ
福音館書店

ユリー・シュルヴィッツ 作・画
瀬田貞二 訳

 扉のページで、月夜であることが分かります。さあ、ページをめくりましょう。
 読者は暗い夜の世界に引き込まれます。でも、ほのかに明るく見える空。そして、それを映すのは湖でしょうか。
 寒く湿ったの近くに木も見えてきました。木の下にはおじいさんとその孫が、毛布に包まれて寝ています。月が輝きます。木の葉がきらめきました。ボートもあるようです。静かに時が流れます。
 鳥が鳴き始めました。おじいさんが起きて、孫を起こします。火を焚いて、朝ご飯を済ませたのでしょう。湖にボートを漕ぎ出しました。そのとき、世界があざやかに一変します。
 柔らかいタッチの絵が、しっとりとした山の空気をリアルに伝えています。その空気の濃さをたっぷり味わってみてはいかがでしょう。ダイナミックな色の変化から、時の流れの躍動感も受け止めることができるように思います。


2015年10月5日月曜日

【本の紹介】おまえをたべちゃうぞーっ!

おまえをたべちゃうぞーっ!
岩崎書店

トニー・ロス 作/絵
神島統夫 訳

 怪獣が表紙を破って今にも飛び出しそうにしています。毛むくじゃらの体に緑の角、真っ赤なベロと鼻、吸い込まれそうな口。食べられちゃったら大変です。
 怪獣は宇宙船に乗ってやってきます。大人しいバナナ星人が住む小さな星に着陸しました。ムシャムシャ食べられて、バナナ星人がかわいそう。そして、山をガリガリ、海をガブガブ、とうとう星までガツガツと食べ始めました。でも、星の芯は熱いから、北極と南極は寒いから残すそうです。星は、まるで丸かじりされた後のリンゴみたいになってしまいました。
 怪獣は出会った星を片っぱしから食べてしまいます。とうとう地球を見つけました。宇宙船のレーダーにトミー坊やが映ると「たべちゃうぞーっ!」とわめきました。トミー坊やも食べられちゃうのかな?
 宇宙の果てから始まるお話のダイナミックな展開を楽しみましょう。柔らかいタッチの絵もお話の流れを効果的に表現しています。恐そうだけど、ユーモラスな怪獣はどこか憎めません。

2015年10月2日金曜日

【本の紹介】ちいさいおうち

ちいさいおうち
岩波書店

ばーじにあ・りー・ばーとん ぶんとえ
いしいももこ やく

 小さいお家の物語です。昔々、田舎の静かなところに建てられました。綺麗で丈夫なお家です。
 小さなお家は長い間、周りの景色を眺めながら幸せに暮らしました。夜、遠いところに街の灯りが見えました。お家は「まちって、どんなところだろう」と思いました。
 時はどんどん経っていき、周りの景色も変わってしまいます。広い道路ができてお家もたくさんできました。「ここは、もうまちになってしまったのだ」と小さなお家は思いました。でも、街は好きになれないような気がしました。
 小さなお家の嬉しそうな顔、そして悲しそうな顔。表情の変化に心が打たれます。
 私たちが暮らす環境は少しずつ、でも確実に変わってきています。それを進歩と呼び、無条件で受け入れてよいのか、真剣に考えなくてはいけない時代になりました。私たち一人ひとりは小さな存在であり、私たち自身が小さなお家なのだと思います。

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...