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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2015年11月20日金曜日

【本の紹介】にしきのなかの馬

やえがしなおこ作
つかさおさむ絵
童心社

 昔々の物語です。あやという娘と馬の三郎をめぐる不思議なお話です。
 あやは、ある村の長者の娘です。美しくやさしい娘に育ったあやが15歳のとき、母親が亡くなりました。泣いてばかりいたあやのところにきたのは、歩き始めたばかりの一頭の子馬。「おめもかかさまとわかれてさみしいべ」とあやは言い、三郎と名付けられた子馬を大切に育てました。
 あやは大きく立派に育った三郎といつも一緒。結婚してお婿さんをもらうこともいやだと言います。困った父親は三郎を売ってしまいました。別れ別れになったあやと三郎ですが、夢の中で再会を果たします。でも、その幸せも、いつまでも続きません。あやと三郎が再び一緒に暮らせる日々は来るのでしょうか。
 民話を題材に創作した「創作民話」の絵本です。コンピュータグラフィックスで描かれたという透明感のある美しい絵を通じて、幻想的な世界に引き込まれてしまうでしょう。

2015年11月12日木曜日

【本の紹介】さあ、とんでごらん!

さあ、とんでごらん!
岩崎書店

サイモン・ジェームズ=さく
福本友美子=やく

 季節は秋。冬は間近です。公園の大きな木は、すでにほとんどの葉が落ちています。よく見ると、枝の上に小鳥の巣があります。巣の中に子どもの小鳥、そして親鳥もそばにいます。
 多くの鳥たちが暖かい南の国に向います。それを見ながら親子の小鳥たちが話を始めます。子どものジョージにママが言いました。「ジョージもとぶれんしゅうをしようね」。でもジョージはうまくできません。それに、空を飛ぶことはまだ怖いのです。
 ママに虫をおねだりしたジョージが一人で待っていると、突然強い風が吹き始めました。ジョージの巣が吹き飛ばれ、木の枝から落ちていきます。さあ、たいへん。まだジョージは飛ぶことができないのに、これからどうなってしまうのでしょう。
 ドキドキしながら読み進めて行ける絵本です。街を空中散歩しているみたいで、とても楽しい。軽いタッチで描かれた小鳥たちにも親しみを感じます。

2015年11月4日水曜日

【本の紹介】この世でいちばんすばらしい馬

この世でいちばんすばらしい馬
徳間書店

チェン・ジャンホン作・絵
平岡敦訳

 絵の素晴らしさに圧倒されてしまいます。8世紀の中国に実在した画家のハン・ガンと、ハン・ガンが描いた馬の物語です。
 ハン・ガンは少年の頃から絵を描くことが大好きでした。でも貧しい家に生まれ、絵筆も紙も買えませんでした。食堂で出前の仕事をしていたハン・ガンは有名な画家のワン・ウェイの家に行き、立派な馬を見て、思わず地面に馬の絵を描きます。その絵がワン・ウェイに認められ、絵を勉強することができるようになりました。その評判が皇帝にも届き、宮廷の絵師になるための学校に行くようになりました。
 ハン・ガンが描くのは馬の絵ばかりでした。そして、不思議な噂が流れ始めます。その噂を聞き、一人の武将がハン・ガンを訪ねてきたことから、物語は大きく展開し始めます。
 ページをめくるごとに、力強く迫力のある絵が読者を引きつけます。そして、作者の思いが私たちに伝わって来るのです。

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...