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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2015年12月25日金曜日

【本の紹介】おくりものはナンニモナイ

おくりものはナンニモナイ
あすなろ書房

パトリック・マクドネル
谷川俊太郎[訳]

 ムーチは猫です。大好きな友だちは犬のアール。いつもと違う日、ムーチはアールに贈り物をしたかったのですが、何でも持っているアールに何をあげたらよろこばれるのかわかりません。
 ムーチは一生懸命考えました。そして思いついたのが「ナンニモナイ!」。でも、ナンニモナイって、どこにあるの?
 ムーチはナンニモナイを探しに買い物に出かけました。でも、ナンニモナイなんて、どこにも売っていません。でもムーチが探すのをやめたとき、ナンニモナイがみつかりました。ムーチの贈り物に、アールも大喜びでした。
 満ち足りているはずなのに、いつもみんなが「ナンニモナイ」といっている。何でもあるはずなのにナンニモナイ。物が溢れる社会の中で、私たちは一体どうしたら本当に満足することができるのでしょう。この絵本がそれを考えるきっかけになるかもしれません。シンプルながら、生き生きと描かれたキャラクターも魅力的です。


2015年12月24日木曜日

【本の紹介】クリスマスイブの木



クリスマスイブの木
BL出版

デリア・ハディ/文
エミリー・サットン/絵
三原泉/訳

 クリスマスイブには奇跡が起こります。さあ、どんな奇跡が起こったのでしょう。丘いっぱいに広がるモミの森からお話が始まります。
 森のモミの木は、大きくなったらクリスマスツリーになります。でも、その中にしっかり植えてもらえなかった木がありました。そのせいで、のびのびと大きくなることができません。小さなモミの木はおとなりさんの大きな木にからまったままデパートに運ばれます。
 クリスマスイブの晩、危うく捨てられそうになったモミの木は鉄道橋の下で暮らしている貧しい男の子にもらわれます。男の子がモミの木にキャンドルを立てると、たくさんの人たちがその周りに集まって来ました。なんて素敵なクリスマスイブ。でも、奇跡が起こるのはその後です。
 ほのぼのとした暖かい雰囲気が魅力の絵本です。細部まで描かれ、色づかいが魅力的な絵からは多くの物語が読み取れるように思います。

【本の紹介】ホワイトクリスマス「雪」

ホワイトクリスマス「雪」
岩崎書店

ウォルター・デ・ラ・メア 詩
カロリーナ・ラベイ 海後礼子 訳

 雪は周りの音を吸い取ってしまうかのように、白い静かな世界をつくります。絵本の中では、しんしんと雪が降る中、一羽のこまどりが木の枝に止まっています。こまどりの歌声が聞こえてきました。それは一編の詩となって私たちの心に響きます。
 でも、冷たいだけの世界ではないようです。こまどりの顔から胸にかけての赤、集落を作る家々の屋根の赤が私たちをほっとさせてくれます。そして、赤い煉瓦の家では3人の子どもたちが、おとうさん、おかあさん、そして一匹の犬とクリスマスイブを迎えました。
 子どもたちが寝静まったイブの夜、雪が降る空からサンタクロースがやってきました。夜が明ければクリスマス。プレゼントを開けて大喜びの子どもたちは、積もった雪にわくわくしながら外に飛び出します。たっぷり遊んだ夕暮れの空に、冬の光がひとすじ浮かび上がりました。
 こまどりに導かれ、どこか幻想的なホワイトクリスマスをたっぷり味わえる絵本です。

【ご案内】子どもの本のろうどく会 vol.9

 くわのみ書房は「子どもの本のろうどく会 vol.9」を開催します。「子どもに語る アンデルセンのお話」(こぐま社)の中からお話を一つ、くわのみ書房のスタッフが声に出して読みます。子どもだけでなく、大人の方もお気軽にご参加ください。 ■日 時:2024年5月4日(土)午前11時~...