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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2016年7月30日土曜日

【本の紹介】なきむしこぞう



なきむしこぞう
理論社

今村葦子・さく
酒井駒子・え

 静かな夏の夕方、小さな家の黄色いドアが開き、ぬいぐみの象ときりんとライオンが出てきました。ぬいぐるみたちは家出をしてきたのです。持ち主のあの子が大事にしてくれないから、もといた動物園の売店に帰るつもりです。
 家出するにしては、ちょっと臆病なぬいぐるみたち。初めて見る飛行機雲も怖がっています。象は泣き出して、きりんから「なきむしこぞうさん」なんてからかわれています。でも、そういうきりんも泣き出しそう。
 すると、屋根裏に住んでいるねずみが出てきて言いました。「ふふふっ! おかしいたっら、ありゃしないよ」
 ぬいぐるみたちがいなくなったことに気づいたあの子が泣いているというのです。「まったく、あきれた、なきむしこぞうだよ」
 あの子のぬいぐるみたちへの思い、そしてぬいぐるみたちのあの子への思いが胸を締め付けます。どうやら、ぬいぐるみたちもあの子も、みんな「なきむしこぞう」だったようです。酒井駒子さんの絵は多くの大人たちも惹きつけます。

2016年7月28日木曜日

【本の紹介】みつけてくれる?



みつけてくれる?
あかね書房

松田奈那子

 はなちゃんのおかあさんは今日、あかちゃんと一緒に帰ってきます。でも、はなちゃんは少し憂鬱そう。はなちゃんはねこのクロにいいました。「わたしまだおねえちゃんじゃないもん」
 クロが「じゃあかくれちゃえばいいんじゃない?」というと、「そうだ…かくれちゃえ!」とはなちゃん。隠れる場所を探しながら、動物や虫たちに、赤ちゃんが来てからのことを相談します。「あかちゃんがきてもみんなわたしのことだっこしてくれる?」
 おねえちゃんになる戸惑いを明るい色彩で描きます。自分の心を確かめるように問いかけ、少しずつおねえちゃんになっていくはなちゃんに共感します。
 おかあさんのはなちゃんに対する愛情、はなちゃんのあかちゃんに対する愛情が伝わり、この絵本を読み終わった後は誰もがやさしい気持ちになれそうです。

2016年7月26日火曜日

【本の紹介】海底電車



海底電車
童心社

松本猛 構成・文
松森清昭 絵

 てつおはおかあさんと二人でおじいちゃんの家に引っ越してきました。家の中では、おじいちゃんの部屋から「ゴーッ」という変な音が聞こえてきます。てつおは中を覗きたいと思いますが、おじいちゃんからは「ぜったいに入ってはいけない」といわれています。
 一人で留守番をしていたてつおは、おじいちゃんの部屋のドアが少し開いていることに気がつきます。そして、勇気を出して中に入っていきます。そこにはたくさんの模型の電車が並んでいました。一台を手にとってみると、ずっしりと重く本物みたいです。
 玄関で音がしました。「おじいちゃんがかえってきた!」
 てつおは急いで水槽の後ろに隠れました。すると「ポコポコポコポコ」という音に引っ張られるように、不思議な電車の旅が始まります。てつおが乗った電車は、人の記憶の海を走る海底電車でした。
 どこまでも青い海の底。てつおと一緒にファンタジーの旅に出かけましょう。不登校児だったらしいてつおは、海底電車の旅をきっかけにおじいちゃんとなかよしになります。学校にも行くようになりました。

2016年7月23日土曜日

【本の紹介】バンブルアーディ



バンブルアーディ
偕成社

モーリス・センダック
さくまゆみこ 訳

 子ぶたのバンブルアーディは一度も誕生日のお祝いをしてもらったことがありません。家族がお楽しみが好きではなかったから。かわいそうですね。
 バンブルが8歳になったとき、でっぷり太ったパパとママはブタ肉にされてしまいます。バンブルは素敵なアデリーンおばさんに引き取られることになりました。おばさんはバンブルが9歳になったとき、誕生日のお祝いをします。プレゼントはカウボーイの洋服。「これってさいこう!」
 バンブルはうれしくなって友達を呼びます。でも、おばさんには内緒。おばさんは果物を売りに出かけてしまいます。バンブルたちはおばさんが作った特製ジュースやケーキで大騒ぎ。バンブルのお祝いをしようと急いで帰ったおばさんはかんかんです。
 描き込まれた一つ一つの絵には楽しい仕掛けがいっぱいです。迫力のある絵と一緒にお話もテンポよく進みます。叱られて「もうぜったい10さいにはならないから!」と泣きべそをかくバンブルに心が打たれます。そして、誰もがホッとするラストシーン。「よかったね」、バンブルアーディ!

2016年7月21日木曜日

【講演会】宇野和美さん「『ちっちゃいさん』が生まれるまで-翻訳と子育てと-」



「『ちっちゃいさん』が生まれるまで-翻訳と子育てと-」
宇野和美さん講演会

2016年7月16日(土)午後2時~4時
千葉県千葉市・千葉市ハーモニープラザ男女共同参画センター

 翻訳家の宇野和美さんの講演会が千葉市で開かれました。宇野さんはスペイン語がご専門。このブログでもご紹介した絵本「ちっちゃいさん」のほか、スペイン語圏の多数の書籍を翻訳されています。
 「ちっちゃいさん」はアルゼンチンの絵本作家、イソールの作品です。赤ちゃんのことをユーモラスに、そしてちょっと変わった視点から描いています。イソールによると、この絵本のミソは「赤ちゃん」に相当する表現を使っていないことだそうです。そこで宇野さんに思い浮かんだのは「ちっちゃいさん」という言葉。この絵本にぴったりですね。翻訳という仕事の醍醐味を感じます。
 宇野さんは出版社を退職後、子育てをしながら本格的に翻訳の勉強を始めました。大学ではスペイン語を専攻されましたが、翻訳の指導を受けられる先生は数少なくご苦労があったようです。スペイン留学をしたときは3人のお子さんたちを連れて行かれるなど、たいへんなバイタリティで現在のお仕事の基礎を築きました。宇野さんがこれまで翻訳された本のリストを拝見すると、ご自身で提案して採用されたものが多数を占めており、そのバイタリティはまだまだ健在です。
 スマホで本を読むようになった今、宇野さんは「本だから伝わることを追求したい」と話されます。これからもたくさんの素敵な本をご紹介いただけることが楽しみです。

2016年7月13日水曜日

【本の紹介】村上春樹とイラストレーター-佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-

(表紙の写真はナナロク社のウェブサイトから転載させていただきました)

村上春樹とイラストレーター-佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-
ナナロク社

監修 ちひろ美術館

 本と同名の展覧会が、東京・練馬区のちひろ美術館で開催中(2016年5月25日~8月7日)です。この本はその図録も兼ねています。
 村上春樹と関わりが深い4人のイラストレーターの作品を紹介しています。佐々木マキ、大橋歩、和田誠、そして安西水丸の4人です。
 一目で誰の作品かわかってしまう個性的なイラストレーターたちです。村上春樹とのコラボレーションは多くの人を魅了してきました。
 イラストレーションの視点から村上作品をみると、また違った世界が浮かび上がってくるかもしれません。

2016年7月12日火曜日

文芸誌の「MONKEY」 Vol.9が入荷しました!




 文芸誌の「MONKEY Vol.9が入荷しました。特集は「短篇小説のつくり方」。村上春樹訳のグレイス・ペイリー作品や村上春樹インタビューなどが掲載されています。絵本・児童書の範疇からは外れますが、執筆者には絵本作家のきたむらさとしさん、童話作家の工藤直子さんらのお名前もあります。ご興味のある方は、ぜひどうぞ手に取ってご覧ください。

2016年7月10日日曜日

夏を楽しむ絵本をどうぞ!



 夏は思い出をたくさん作る季節です。海水浴を楽しんだり、山へキャンプに出かけたりする人が大勢います。おとうさんやおかあさんのふるさとを訪ねることもあるでしょう。
 遠くに行かなくても、近所の公園で虫取りをしたり草花を摘んだりして自然と親しむことができます。お友達とも、日が暮れれるまでたっぷり遊べます。一人で何か大きなことにチャレンジしてもよいですね。
 絵本の世界でも、そんな夏の楽しみがいっぱい。主人公は決して特別な存在ではありません。絵本を読めば、誰でも夏の物語の主人公になれそうです。
 夏を楽しむ絵本を本棚から集めました。どうぞ手に取ってご覧ください。

2016年7月7日木曜日

【本の紹介】ハエトリグモ



ハエトリグモ
かがくのとも(2016年8月号)
福音館書店

池田博明 ぶん
秋山あゆ子 え

 表紙に、なんともユーモラスなクモが描かれています。これが「ハエトリグモ」? どんなクモでしょう。
 表紙をめくると台所のテーブルがあります。テーブルの上には醤油差しや爪楊枝入れ、湯飲み茶碗などが並び、そこに1匹のクモがいます。「ぴょんぴょん」と飛び跳ねているようです。さらにページをめくると、指と比べてクモの大きさがわかります。小さいクモですね。
 指をみつめる大きな目。指を動かすと首をかしげるような仕草がとてもかわいらしい。でも実は、目は全部で8つもあるそうです。ハエトリグモは家の中にいて、たくさんの種類があります。そして、家の外にはもっとたくさんのハエトリグモがいて、垣根や草むらなどで会うことができます。
 身近な生き物の生態を知ることが自然への関心を高めることにつながります。そのための、よいきっかけづくりになりそうな絵本です。

2016年7月5日火曜日

福音館書店の月刊誌8月号が入荷しました!




 福音館書店の月刊誌8月号が入荷しました。「かがくのとも」のテーマは「ハエトリグモ」。8つの目を持ち、そのうち2つの大きな目で獲物を見つめます。首をかしげるような仕草がなんともユーモラス。
 「こどものとも年中向き」は「おばけのこままわしたいかい」がテーマ。たろうくんが子どものおばけたちのこままわし大会に参加します。子どもに関わる大人向けの「母の友」は「やっぱり妖怪が好き」が特集テーマです。
 そのほかの月刊誌のテーマは、「こどものとも」は「ケロリンピック」、「こどものとも年少版」は「アオッチとキーコ ひみつきちにいく」、「こどものとも0.1.2」は「たべたのだーれ?」、「たくさんのふしぎ」は「分水嶺さがし」、「ちいさなかがくのとも」は「さくよ さくよ」です。どうぞ手に取ってご覧ください。

2016年7月3日日曜日

船橋よみうりで紹介されました!



 地域新聞の船橋よみうりで、くわのみ書房が紹介されました。7月2日付(No.1102)の2面の「異彩探訪」というコーナーです。
 船橋よみうりは千葉県船橋市・習志野市・鎌ケ谷市が発行エリア。毎週土曜日(第5土曜日は除く)に読売新聞と一緒にお届けしている地域新聞です。実は先月、取材を受けていましたが、思っていたより早めに掲載されたので、ちょっとビックリしました。

【ご案内】子どもの本のろうどく会 vol.9

 くわのみ書房は「子どもの本のろうどく会 vol.9」を開催します。「子どもに語る アンデルセンのお話」(こぐま社)の中からお話を一つ、くわのみ書房のスタッフが声に出して読みます。子どもだけでなく、大人の方もお気軽にご参加ください。 ■日 時:2024年5月4日(土)午前11時~...