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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2016年9月30日金曜日

【本の紹介】おじいちゃん、おぼえてる?



おじいちゃん、おぼえてる?
光村教育図書

文 フィル・カミングス
絵 オーウェン・スワン
訳 福本友美子

 ジョージーはおとうさんと一緒に、施設にいるおじいちゃんを訪ねます。おじいちゃんは認知症になっているのでしょう。ジョージーがおとうさんに聞きました。「きょうはおじいちゃん、わたしのことわかるかな?」
 おじいちゃんは光が差し込む明るい部屋に座っています。新聞が積み重ねられ、高いビルのように並んでいます。ジョージーが新聞を読むおじいちゃんに「こんにちは!」と声をかけると、「はい、こんにちは」と応えてくれました。でも、「ジョージーよ、おぼえてる?」と話しかけた後の会話はちぐはぐしています。ジョージーは何回も「わたしのこと、おぼえてる?」と聞きました。
 社会の高齢化に伴い、認知症高齢者が増加しています。身内に認知症の人がいることもめずらしくありません。この絵本に出てくるおじいちゃんも、何でも教えてくれる物知りのおじいちゃんではありません。それでも、ジョージーはおじいちゃんが大好きなようです。
 新聞紙で作る帽子が、おじいちゃんとジョージーをつなぐ道具になっています。その新聞の記事を見ると、おじいちゃんがまだ若いころの昔の新聞が丹念に描かれていることが分かります。帽子を作った新聞は、おじいちゃんが生きてきた歴史そのものだったのです。

2016年9月29日木曜日

【本の紹介】ロボとピュータのはいくえほん なつやすみのまき



ロボとピュータのはいくえほん なつやすみのまき
福音館書店

あらしやまこうざぶろう・ぶん
みなみしんぼう・え

 著者の嵐山光三郎さんによる俳句絵本に「ピッキーとポッキーのはいくえほん おしょうがつのまき」(福音館書店)があります。ただ残念なことに、その発刊後、絵を描かれた安西水丸さんが亡くなられてしまいました。もともとシリーズ化するお考えがあり、改めて絵の担当を南伸坊さんに託してこの絵本が制作されたと思われます。
 夏休みの始まりの日、おとうさんのロボから俳句の作り方を教わった息子のピュータ。おとうさんに自分の俳句を「いいはいくだ」と褒められ、ピュータは「ことしのなつやすみは、はいくをいっぱいつくることにしました」と張り切ります。
 お話は絵日記の形で続きます。公園や海、縁日に行ったり、花火やキャンプをしたり、夏休みは俳句にする題材がたくさんあります。友だちやお隣さん、猫のくろちゃんや犬のしろくんまで、たくさんの人が作り始めたようです。
 子どもが描いたようなほのぼのとした絵に俳句が重なります。声に出して読めば、楽しさも倍増します。

2016年9月28日水曜日

「暮らしの手帖84 10-11月号」が入荷しました。




 「暮らしの手帖84 10-11月号」が入荷しました。料理の特集では、から揚げやサンドイッチの作り方、さらに炒めものや秋刀魚料理などを特集で取り上げています。どれもとても美味しそう。手芸の特集では、「くつしたのお直し」というタイトルで、いろいろな衣類を修繕するためのダーニングという技術を紹介しています。また「すてきなあなたに」というコーナーに、カステラ作りにまつわる文章が掲載されています。絵本の「ぐりとぐら」でもお馴染みの手作りカステラに興味津々です。入手困難だった「83」も再入荷しました。どうぞ手に取ってご覧ください。

2016年9月25日日曜日

食欲の秋です!



 実りの秋。何を食べても美味しい季節です。サンドイッチやおにぎりのお弁当を持って、近くの公園に行くだけでも楽しいですよ。お家で食べるホットケーキも美味しそう。お食事やおやつで楽しいひとときを過ごしましょう。くわのみ書房の窓際に食べ物の絵本を並べました。どうぞご覧ください!

2016年9月23日金曜日

ストレートコーヒーの豆が変わりました!



 くわのみ書房で提供するストレートコーヒーの豆が変わりました。グアテマラのコーヒーをお楽しみいただけます。生産農園はリベルダット農園です。やさしい甘さと、フルーティですっきりとした味わい。軽やかでしっかりとした酸味があり、アフターテイストもさわやかです。

【テーマコーナー】木が語ること



 木はいつも私たちを守っているように思います。大地にしっかりと根をはり、太い幹から枝を広げ、たくさんの葉を繁らせている木のまわりには、いつも大勢の人たちが集まります。
 木は、声を出して話すことはありません。自分の体を動かすこともできません。木は、ただそこにいるだけです。
 でも、木の近くでそっと耳を傾けてみてください。木の息づかいが伝わり、きっと何かを語りかけてくるでしょう。木が語り始めるとき、また新しい物語が生まれます。
 木をテーマにした絵本はたくさんあります。その一部を本棚からピックアップしました。どうぞ、手に取ってご覧ください。

2016年9月22日木曜日

【本の紹介】こんばんは あおこさん



こんばんは あおこさん
アリス館

かわかみたかこ

 夜になりました。あおこさんは、もう寝る時間です。おかあさんがあかりを消し、部屋が暗くなりました。でも、あおこさんはなかなか寝ようとしません。
 庭の方から「こんばんはあおこさん」と声が聞こえてきました。呼んでいたのはこうもりでした。「ぼくについておいでよ」と誘います。あおこさんが庭に出ると、次から次へと声がかかります。ほたるやお月さまたちから「こんばんはあおこさん」と呼ばれ、うれしくなったあおこさんは寝ることをすっかり忘れてしまったようです。
 眠ってしまうのは何かもったいない。そんなふうに思っている子どもはたくさんいると思います。あおこさんも同じです。この絵本を寝る前に読めば、最後は眠りに着いたあおこさんと同じように、楽しい夢をみることができるかもしれません。
 夜の暗闇は色がない世界になります。夜の表現は単調になりがちですが、青を基調に濃淡を効果的に使って奥行きのある絵を描いています。光の黄色が温かみを与えています。

2016年9月18日日曜日

【本の紹介】わたしのこねこ



わたしのこねこ
福音館書店

澤口たまみ 文
あずみ虫 絵

 表紙をめくると、扉のページに黒い子猫がいます。ぱっちりした目で、好奇心いっぱいに何かを見上げています。「わたしのうちにこねこがきたよ」とお話が始まります。
 子猫は「くろ」と名前を付けてもらいました。お家には年寄りのとらねこの「レオ」がいました。くろはレオの鼻先に自分の鼻を寄せて、きちんとごあいさつすることができました。その後、わたしの指先にも鼻をこつんとくっつけてあいさつできたくろ。これで家族の一員になれたかな。その後、わたしに頭を撫でられたくろの姿はとても愛らしい。
 わたしとくろの楽しい生活が続きます。でも、わたしが家に帰っても、くろがいない日がありました。くろのいない家の中はしいんとしています。わたしは胸が「きゅうっ」と痛くなりました。くろはどうなってしまったのでしょう。
 絵の作者はアルミ板をカッティングする技法で作品を制作するそうです。シンプルながら明るい色彩の絵からは、不思議に温かみが感じられます。描かれているのは、わたしとくろの何げない毎日。お互いに自分の気持ちを伝え合うことで、心の交流を深めていきます。

2016年9月17日土曜日

【本の紹介】みずたまり



みずたまり
フレーベル館

殿内真帆

 子どもは、いろいろなものとお話することができます。この絵本では主人公のふくちゃんが、雨が上がった後、お家の前にできたみずたまりと楽しく会話しています。
 ふくちゃんがバシャバシャとみずたまりに入ると、「おいおい、しずかにしておくれ」という声が聞こえます。話しかけてきたのは、みずたまりでした。「ここからいろんなものをみているんだから」と言います。ふくちゃんが「なにがみえるの?」と聞くと、みずたまりは「さっき、なないろのにじがみえたんだ」と答えました。
 次の日も次の日も、ふくちゃんとみずたまりの会話は続きます。でも、みずたまりはだんだん小さくなっていくようです。とうとうお別れの日がやってきます。みずたまりは「あめがふったらまたあおう」と言いました。
 ふくちゃんは次に雨が降る日が楽しみです。てるてるぼうずを逆さに吊るして待ってます。みずたまりと毎日会話することで、ふくちゃんも少しずつ成長したように思います。

2016年9月16日金曜日

【本の紹介】だちょうさんのたまご



だちょうさんのたまご
ひさかたチャイルド

文 谷口國博
絵 村上康成

 だちょうのおかあさんが卵を温めています。おかあさんはすくっと立って卵のようすをみた後、どこかに出かけてしまいました。そのとき、「ぴしっ」と音がして、卵が割れ始めます。あかちゃんが生まれるのです。
 そこに、えりまきとかげさんがやってきました。さあ、たいへん。とりさんは生まれて初めて見たものをおかあさんと思ってしまうのです。今、あかちゃんが生まれたら、えりまきとかげさんをおかあさんと思い込んでしまいます。「だちょうのおかあさん、はやくもどってきてくださーい」
 生まれて初めて見たものをおかあさんと思い込むことを「刷り込み』と言います。ノーベル賞を受賞したコンラート・ローレンツが発見した現象です。
 えりまきとかげさんの後も、やまあらしさんやおさるさんなど、いろいろな動物が次から次へとやってきます。そのたびに「ぴしっ」と卵の割れ目が大きくなっていきます。さあ、だちょうのあかちゃんが卵から出てきたとき、誰がそばにいるのでしょう。はらはらどきどきしながら、繰り返されるお話を楽しみます。

2016年9月15日木曜日

【本の紹介】なくむしこみち



なくむしこみち
ちいさなかがくのとも2016年10月号
福音館書店

内田正吉 ぶん
サイトウマサミツ え

 夏が終わりに近づくと、聞こえてくるのは虫たちの鳴き声です。虫たちは秋が来ることを静かに知らせてくれます。
 外に出て、虫の声に耳を傾けてみましょう。この絵本に登場する子どものように、木や草むらのある道を歩けば、いろいろな声が聞こえてくるはずです。
 どんな鳴き声なのか、どこから聞こえてくるのか、虫の種類で異なっています。それらを一つひとつ確認していくことはとても楽しそうです。科学の第一歩は、よく観察することでもあります。
 柔らかいタッチのこの絵本は、秋にぴったりの雰囲気です。身近に聞こえてくる虫の鳴き声を通じて自然を感じることもできます。きっと自然を大切にする気持ちにもつながっていくでしょう。

2016年9月11日日曜日

【おすすめの1冊】おじいちゃんのコート



おじいちゃんのコート
ほるぷ出版

ジム・エイルズワース 文
バーバラ・マクリントック 絵
福本由美子 訳

 おじいちゃんは洋服の仕立て屋さんでした。自分の結婚式で着るコートをつくり、大切にしていました。
 どこへ行くにも何をするにも来ていたお気に入りのコート。ボロボロになったら上着のジャケットに作り直します。それがボロボロになったら、今度はベストになりました。
 コートは次から次に作り直され、最後はかげもかたちも無くなります。そして残ったものは、この絵本のお話しだけでした。
 おじいちゃんの孫が、自分の子どもに語るこのお話。伝えているのは、ものを大切する気持ちだけではありません。ものと一緒に過ごした家族を大切にする気持ちも一緒に伝わります。素敵なお話をありがとう。

2016年9月10日土曜日

【本の紹介】きのこってなんだろう?



きのこってなんだろう?
かがくのとも2016年10月号
福音館書店

小林路子 さく

 白樺の森の小径で苔の中から出てきたのは、ベイテングタケというきのこでした。赤い傘に白いつぶつぶが描かれて、見た目もきれいなきのこです。作者の小林さんによると、毒きのこなのに、とても人気があるそうです。確かにマンガやアニメの中でも、よく見かけるきのこです。
 ベニテングタケを例に、きのこのライフサイクルが語られます。傘が開くと、目に見えないくらい小さい胞子が出てきます。胞子がたくさん出て、うすい煙のように見えるときもあるそうです。胞子が地面に着くと、地面の下で糸のようなものが出てきます。菌糸です。
 菌糸と菌糸はくっついて、どんどん伸びて増えていきます。実はこの菌糸こそ、きのこの本体です。私たちが目にするきのこは、菌糸が子どもを増やすためにつくられるものであり、植物の花と同じような役割を果たしているそうです。
 きのこにはたくさんの種類があります。美しく描かれたきのこたちを、図鑑を見るように楽しみましょう。面白い形のきのこもありますよ。

2016年9月9日金曜日

【本の紹介】ロベルトのてがみ



ロベルトのてがみ
好学社

マリー・ホール・エッツ 作
こみやゆう 訳

 「もりのなか」などで知られる作者のマリー・ホール・エッツは、貧困地区の住民の生活を援助する社会事業に取り組んでいた時期があり、主に子どもの福祉のために働いていたそうです。この物語は、そのころに出会った実在の少年をモデルに書かれました。
 主人公のロベルトの家族は、アメリカのカリフォルニア州の小さな町に住んでいます。おとうさんとおかあさんは子どもが生まれる前にメキシコからアメリカへやってきました。2人ともスペイン語を話し、英語は使えません。家族の中で英語がわかるのは、ロベルトのおにいさんのマルコだけでした。マルコは学校に通っているので、英語が話せるようになったのです。
 ある日、おとうさんと喧嘩をしてしまったおかあさんは、家から追い出されてしまいます。そして、いたずらっ子のロベルトは、子どもの世話をしてくれる子どもセンターに行くようになります。そこでロベルトはだんだん英語を覚え、マルコにも手伝ってもらい、おかあさんに手紙を書きました。ロベルトの手紙はおかあさんに無事届くのでしょうか。
 アメリカではメキシコからの移民が大きな問題になっているようです。一方で、この作品からは移民の子どもに対するエッツの深い愛情を感じることができます。子どもへの愛情は普遍的なものであり、そのことを私たちは忘れてはならないと思います。

2016年9月8日木曜日

【本の紹介】てんごくにいったのうふ



てんごくにいったのうふ
こどものとも2016年10月号
福音館書店

プラサンサ・カルコーッテゲ 再話・訳
イノーカ・デ・シルバ 絵

 スリランカの昔話です。あるところに農夫がいました。稲刈りをしようと田んぼに行くと、稲が倒れ、あちこちに丸くへこんだ跡がありました。丸い跡は農夫の家のうすと同じ大きさです。「きっとうちのうすがうごいていたずれしたにちがいない」と思った農夫は家に帰り、うすが動けないようにひもでしばりました。
 ところが次の日も、また丸い跡がたくさんありました。ほかの家のうすだと思った農夫は村の人たちに話し、村中のうすをひもでしばってもらいました。そして次の日、やっぱり丸い跡があったのです。
 農夫は見張りをすることにしました。夕方、田んぼに行っていってみると、そこにいたのは一頭の像でした。むしゃむしゃ稲を食べています。農夫は夜が明けるまで稲を食べ続けた像と一緒に、天国に行くことになります。
 奇想天外なお話に引き込まれてしまいました。素朴な温かさが感じられる絵も魅力的です。描かれた農夫たちは表情豊かで親近感が湧いてきます。

2016年9月7日水曜日

福音館書店の月刊誌10月号が入荷しました!




 福音館書店の月刊誌10月号が入荷しました。「母の友」の特集は「子どもが風邪をひいたら…」。家での手当てや病院に連れて行くべきかどうか、仕事を休めないのにどうしたらよいかなどについて考えます。
 「こどものとも年少版」のタイトルは「にわとりかあさん」。あたためていたたまごがどんどん大きくなってきました。いったいどうなるのでしょう。「こどものとも年中向き」の「なんじゃもんじゃはかせのおべんとう」は故長新太さんの作品。これは「こどものとも」1993年12月号の再販です。「ちいさなかがくのとも」は「なくむしこみち」がタイトル。秋の小道で虫の声を楽しみましょう。
 そのほかの月刊誌のタイトルは、「こどものとも0.1.2」は「すごいねじょうずだね」、「こどものとも」は「てんごくにいったのうふ」、「かがくのとも」は「きのこってなんだろう?」、「たくさんのふしぎ」は「いちくんと古太鼓」です。どうぞ手に取ってご覧ください。

2016年9月3日土曜日

お月さまといっしょに



 お月見を楽しむ十五夜。今年は9月15日です。お月見だけでなく、絵本でもお月さまと一緒に楽しいひとときを過ごしてみませんか。
 お月さまが登場する絵本はたくさんあります。お月さまはいろいろな物語をつくってきました。
 底抜けに明るいお日さまと違って、お月さまにはどこか謎めいた雰囲気があります。だから私たちは、お月さまをめぐる物語に強く魅かれるのかもしれません。
 店内のテーマコーナーに、お月さまの絵本を本棚からピックアップして並べました。あなたのお気に入りを探しましょう。どうぞ、手に取ってご覧ください。

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...