ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2017年8月31日木曜日

【本の紹介】こらっ、どろぼう!



 農場が舞台のお話です。青空が広がり、やさしい光がふかふかの大地に満ち溢れています。豊かな農場の暮らしに事件が起こります。農場のご主人が犬のマックスに言いました。「マックス、どろぼうを つかまえられるかい?」
 ご主人は、ニンジンとイチゴ、マメ、サクランボが片っ端から盗まれていると言っています。マックスは張り切って飛び上がり、何だって捕まえてみせるとロープを咥えて駆け出しました。
 食いしん坊の動物たちが登場します。どろぼうを追いかけるマックスと動物たちのおしゃべりが、何かちょっと変です。何がちょっと変なのか分かりますか。分かったら、ぜひマックスに教えてあげてください。
 作者の二人はカナダ人です。のびのびとした味わいを楽しみましょう。翻訳は第23回いたばし国際絵本翻訳大賞を受賞しました。

こらっ、どろぼう!
ヘザー・テカヴェク さく
ピエール・プラット え
なかだゆき やく

きじとら出版
本体1400円+税

2017年7月31日発行

2017年8月30日水曜日

Co-展に参加しました!





 くわのみ書房は8月27日の日曜日、「Co-展」に参加しました。習志野の楽しいヒト・コトが集まり、線でつながったるローカル展覧会です。習志野市本大久保の中央公園やギャラリー&レンタルスペースの「林檎の木」に、子どもから大人まで大勢の人たちが集まりました。
 企画したのは「nom de cocoa」と「日々是好日」。nom de cocoa は2015年から中央公園でピクニックイベントなどを行っているご夫婦のユニットです。日々是好日は本大久保の写真館です。多くの協力者が集まり、にぎやかなイベントが実現しました。
 中央公園では、千葉工大、東邦大、日大生産工学部の3大学の写真部・フォト部が作品を展示する「ならしのフォトジャンボリー」を開催。そのほか、子どもたちがワンピースやTシャツにスタンプでお好みの柄をつける「わたしのワンピース、ぼくのシャツづくり」、さらに「四万十ヒノキ集成材と三重県の木材を使った造形ワークショップ」「鳥人間たちによる、とてもよく飛ぶ紙飛行機作り」のワークショップが開かれました。
 「林檎の木」ではカレーと水出しコーヒー、さらにビールや日本酒の販売があったほか、子ども家具やアクセサリーの展示販売がありました。くわのみ書房も、ここで絵本などを販売しました。
 習志野のまちにも楽しいこと、素敵な人がいる。でも、あちこちに散らばっていて、なかなか見つけづらい。だから、このまちの点をみんなでつないで、新しいワクワクや暮らしを発明しよう。このイベントはそんな思いから始まりました。お天気にも恵まれ、たくさんの人たちが集まりました。参加者一人ひとりが、これからの暮らしを楽しくできる何かを見つけることができたのではないでしょうか。

2017年8月26日土曜日

【本の紹介】いのちのたべもの



 私たち人間はずっと昔から命あるものを食べてきました。肉、野菜、そしてそれらの加工品など、食べ物はみんなもともと命ある他の生き物からできています。でも、私たちはそのことを忘れてしまいがちです。スーパーマーケットで食べ物を買っても、もともとの姿で売られていることは少なくなったからです。
 この絵本に出てくる子どもは、おかあさんに頼まれて一人で寄せ鍋の材料を買うことになりました。食べ物がどんな風に売られているか、実際に見ていくことになります。おかあさんは、食べ物には海のものと陸のものがあることも教えてくれました。人も動物も虫たちも「みんな、いのちあるものを たべて いきてるの」とおかあさんは話します。
 この絵本の出版社は新潟県にあります。2016年3月に出来たばかりで、第1作目がこの絵本です。迫力がある一方で親しみ深さも感じるタッチの絵は、クレヨンやクレパスで描かれているようです。
 絵本の最後は、おとうさんも帰ってきて一緒に寄せ鍋を食べます。おとうさんは、地球は命の星だといいました。地球はたくさんの命を生み出した海と陸からできているからです。食べ物を通じた親子の会話があたたかく広がります。

いのちのたべもの
中川ひろたか 文
加藤休ミ 絵

おむすび舎
本体1400円+税
2017年4月19日発行

2017年8月25日金曜日

【本の紹介】よるのおと



 ある日の夜、世界の片隅で別の時間が流れます。夜は深い青色。引き込まれそうな青い世界です。
 子どもが池のほとりまでやってきました。「ああ、やっとついたよ。おじいちゃんのいえ」と独り言。池の向こうにおじいちゃんの家があります。そこからおじいちゃんの家に着くまで、ほんの短い時間に起こったことが描かれます。
 遠くで汽笛を鳴らす汽車。池で水を飲む鹿たち。蓮の葉の上で蛙が鳴きます。鯉が蛙の脇を通った後、蛙は虫を捕らえました。木に止まっていたふくろうが蛙を狙い、蛙は池に飛び込み難を逃れます。「パシャッ」という音が残り、池に波紋が広がりました。
 作者のあとがきを読めば、この絵本が「古池や 蛙飛び込む 水の音」という松尾芭蕉の俳句をモチーフにしていることが分かります。作者がこの俳句から感じた世界の広がりを、この絵本を通じて私たちも共感することができそうです。

よるのおと
たむらしげる

偕成社
本体1400円+税
2017年6月発行

【本の紹介】ごちそうの木



 色鮮やかなこの絵本はティンガティンガ・アートという技法で描かれています。ティンガティンガ・アートは、1960年代のタンザニアで生み出されたポップアートの技法です。名前は創始者である画家のエドワード・サイディ・ティンガティンガに由来します。6色のエナメルペンキによる絵は、強いインパクトがありながら素朴な印象を与え、私たちの目を引きつけます。
 作者がタンザニアの昔話を絵本にしました。タンザニアでも、近代化に伴い、昔話を知っている人は少なくなってきているようです。作者は昔話の収集も精力的に行っています。
 大勢の動物たちが木を囲む場面からお話が始まります。日照りが続き、作物が採れないので、みんなおなかがペコペコです。木にはおいしそうな実をつけていますが、なかなか落ちてきません。そこで動物たちは、実を採る方法を賢い亀に聞くことにしました。大きな動物たちが代わる代わる亀を訪ねます。亀は「あのごちそうの木なら、名まえをとなえれば、実をおとしてくれるよ」といい、木の名前も教えてくれました。でも、大きな動物たちは聞くたびにその名前を忘れてしまいます。
 最後は小さな動物のノウサギが登場して幸せな結末を迎えます。昔話らしく、同じパターンのお話が繰り返されます。作者のジョン・キラカさんは7月下旬から8月にかけて来日し、各地でイベントが開かれました。これをきっかけにアフリカの絵本も広く紹介されることを期待したいと思います。

ごちそうの木
ジョン・キラカ 作
さくまゆみこ 訳

西村書店
本体1500円+税
2017年8月3日発行

ビブリオパドルに行ってきました!



 今月もビブリオパドルに行ってきました。23日夜の7時から、東京・国分寺の「絵本とおはなしの店 おばあさんの知恵袋」に絵本好きが集まりました。今回の参加人数は、初参加の2人を含む8人でした。
 参加者がそれぞれ自分のお気に入りの絵本を紹介します。他の人の紹介を聞くだけの参加もOKです。私が今回取り上げた絵本は「ちいさいケーブルカーのメーベル」(さく バージニア・リー・バートン、やく かつらゆうこ・いしいももこ、ペンギン社)です。主人公のメーベルは、アメリカのサンフランシスコで活躍するケーブルカー。サンフランシスコのケーブルカーは世界中から訪れる観光客にも大人気です。でも「はってん」という言葉とともに、ケーブルカーは廃止されそうになります。廃止への反対運動が起こり住民投票が行われることになりました。その結果は、今のサンフランシスコを見ればお分かりですね。作者のバートンは、「ちいさいおうち」など多くの名作絵本でおなじみの作家です。
 そのほか、「おしりポケット」(そうえん社)、「Diary of Wombat」(HMH Books for Young Readers)、「キツネとねがいごと」(西村書店)、「鳥の島」(BL出版)、「ジェイクとふうせん」(自由国民社)、「まねきねこだ」(好学社)、「うさぎとかめ」(らくだ出版)、「詩ってなあに?」(BL出版)などが紹介されました。これらの中には現在入手できない絵本もあります。知らなかった絵本も多く、いつもながら刺激的な集まりでした。

2017年8月13日日曜日

【本の紹介】きっておとこ(こどものとも年中向き2017年9月号)



 切手の目、切手の鼻、切手の口。顔が切手で出来ているから「きっておとこ」。きっておとこが大活躍する絵本です。
 庭で切手をばらまくと、切手は蝶々になりました。帽子から切手の小鳥も飛び出します。街へ繰り出せば、切手は建物の窓になりました。切手は何にでもなれるのです。
 圧巻は、空も地面も太陽も、全部切手になったページでしょう。切手を使ったマジックを見ているようです。お家でも集まった切手で遊んでみてください。
 電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)が使いやすくなって、郵便切手の出番は少なくなりました。小さな紙切れに過ぎない切手ですが、そこには味わい豊かな世界が描かれています。あらためて切手の魅力を再発見しました。

きっておとこ(こどものとも年中向き2017年9月号)
殿内真帆 さく

福音館書店
2017年9月1日発行

本体389円+税

2017年8月12日土曜日

【本の紹介】うえきやさんがやってきた(こどものとも年少版2017年9月号)



 植木屋さんはかっこいい。枝を切り込む思いっきりのよさがいい。植木屋さんを呼んだお家に男の子がいました2。お箏の子は植木屋さんを一日中観察しています。
 植木屋さんは親方と見習いのお兄さんの二人です。お昼になったら、お弁当を広げます。二人のお弁当箱の大きいことにびっくりします。親方は「からだを うごかすから、おなかが すくんだよ」と言ってから「アッハッハ」と笑いました。笑う姿もかっこいい。
 クライマックスは松の木の剪定です。親方はお兄さんに「おれの しごとを よーく みて、しっかり おぼえろよ」と言いました。お兄さんは真剣な眼差しで親方の仕事ぶりを見つめます。
 絵は刺繍で描かれています。一針一針丁寧に仕上げた職人仕事です。庭のようすを植木屋さんが仕事をする前と後で見比べてみましょう。すっかり綺麗になった庭に心も洗われるようです。

うえきやさんがやってきた(こどものとも年少版2017年9月号)
片平直樹 文
みずうちさとみ 絵

福音館書店
2017年9月1日発行
本体389円+税

2017年8月11日金曜日

【本の紹介】なかよし なかよし(こどものとも0.1.2. 2017年9月号)



 色も形も違うもの同士が、ピタリと合って一つになります。一つになったら「なかよし なかよし」。なかよしになるって、素敵ですね。
 作者のことばによると、一つの形からもう一つの形を切り出して型紙をつくっていったそうです。型紙の形に名前を付けると、それはもうただの形ではなく、それぞれ一つのキャクターとなり、自分で自分自身がどうなりたいのか考えて教えてくれるそうです。その声に耳をすませて、いろいろな種類の紙の中から素材を選びます。色も形も違う紙で貼り絵を作り、この絵本が出来上がりました。
 どこかでみたような形に名前が付いていることが不思議です。一つひとつの形が生命を持ち、生き生きと動き出すことにも驚きます。
 作者にとって楽しい絵本づくりだったことが伝わってきます。絵本を通じて、その楽しさが子どもたちにも広がっていくでしょう。

なかよし なかよし(こどものとも0.1.2. 2017年9月号)
のむらさやか さく

福音館書店
2017年9月1日発行
本体389円+税

2017年8月10日木曜日

「母の友」2017年9月号をお届けします!



 子育てをする中で、子どもの病気を避けることはできません。子どもが病気になって頼るのは病院や診療所などの医療機関です。「母の友2017年9月号は特集のテーマに「子どもと病院のはなし」を取り上げ、子育て中の親たちが子どもの病気でかかえる不安や迷いの対処方法について小児科医師の石橋涼子さんが解説します。
 子どもの体調が悪くなったときなど、どのタイミングで病院に行くか、判断に迷うときがあります。特集の中の「こんなときどうする10」では、「熱が出た」「せきがひどい」「けいれんを起こした」など、とくに頻繁に発生する10の事態について具体的な判断の目安が示されます。「病院にまつわるソボクな疑問」や「病院の上手なかかり方」も参考になるでしょう。
 現在の日本の医療状況を医療ジャーナリストの福島安紀さんが解説する「知っておきたい医療のはなし」もぜひ一読していただきたい内容です。小児科の医療機関は減少傾向にあり、地域の小児医療を住民がどう守っていくかという視点も必要になっています。小児科医師の細谷亮太さんは「こどもに寄り添うということ」の記事の中で、子どもの病気に対する親の心構えなどをお話されています。
 そのほか絵本や児童書に関する記事も満載です。どうぞお手に取ってご覧ください。

2017年8月9日水曜日

平和を祈る 2017



 日本が戦争に負けた72年前の夏、社会は大きく変わりました。もう戦争はしないと誓う新しい憲法もできました。
 誰もが平和を祈念し、それが今では当たり前のことになりました。争いを武力で解決することはできません。
 でも人は昔のことを忘れてしまい、別の道を歩み出してしまうこともあります。歴史を振り返り、平和な社会をどうつくっていくか考え続けることが求められています。
 今年も平和について考えるきっかけとなりそうな絵本や児童書を本棚から集め、テーマコーナーに並べました。どうぞ手に取ってご覧ください。

2017年8月6日日曜日

【本の紹介】アリになった数学者(たくさんのふしぎ2017年9月号)



 寓話のような数学のお話です。数学者の「ぼく」がアリになったところからお話が始まります。数学者のアリは、数学者が研究している「数」や「図形」が実際には存在していないことを教えてくれます。数や図形は頭の中だけで考えられているイメージに過ぎないのです。
 数学者のアリは、普通のアリが数を理解していないことに気づきました。仲間のアリは、美味しそうな実がたくさんあっても、いくつあるのかまったく気にかけません。そこにある実を巣に運び込もうとするだけです。
 でも、翅を持ったあでやかな姿のアリは数がわかるようです。数学者のアリは驚きました。しかも人間の数とは違い、色や輝きや動きがある生きた数だといいます。人間が知っている数とは、全く違う種類の数でした。アリには人間の数がわからない。でも、人間もアリの数がわからないのです。
 数学者のアリは、小さなアリになって初めて、大きな数学の宇宙の入り口にたどり着いたことを自覚します。不思議な寓話に導かれ、私たちも数学の宇宙の大きさに気づきます。文章を書いた森田真生さんは在野の数学研究者、絵を描いた脇坂克二さんはテキスタイルデザイナー。ちょっとむずかしいお話ですが、見開きのページに描かれた絵が目を楽しませてくれるでしょう。

アリになった数学者(たくさんのふしぎ2017年9月号)
森田真生・文
脇坂克二・絵

福音館書店
2017年9月1日発行
本体667円+税

2017年8月5日土曜日

ジョン・キラカさんの「語りの会」に参加しました!



 アフリカのタンザニアから絵本作家のジョン・キラカさんが来日され、大阪や京都、そして東京で講演会やワークショップなどを精力的に行なっています。5日には国分寺市の都立殿ヶ谷戸庭園内の紅葉亭で「ジョン・キラカさんを囲む語りの会」が開かれました。キラカさんの最新作の「ごちそうの木」(西村書店)が発刊されたばかりのタイミングに、作者ご本人によるこの絵本のストーリーテリングも楽しませていただきました。
 キラカさんの絵本はタンザニアで生まれたティンガティンガ・アートと呼ばれる手法で描かれています。のびのびとした色鮮やかな表現が大きな特長です。ティンガティンガ・アートの絵は旅行者のお土産として制作されることが多く、「ごちそうの木」のように絵本として発刊されることはまれだそうです。
 キラカさんはタンザニアの昔話を収集するプロジェクトにも取り組んでいます。「ごちそうの木」のあとがきには、この絵本のもとになった昔話をキラカさんが記録したのは2007年7月2日だったと書かれています。タンザニアではフィパ語という言葉が使われている地域があります。キラカさんの母語でもあります。キラカさんはフィパ語で「ごちそうの木」を記録し、それをタンザニアの公用語であるスワヒリ語と英語にしています。日本で発刊された絵本は英語版がベースになっています。翻訳はさくまゆみこさんが担当され、「語る会」もキラカさんのお話の聞き手としてスムーズに進行していただきました。
 キラカさんは収集した昔話を後世に残すため、ストーリーテリングで若い世代に伝えようとしています。今回の「語りの会」で、キラカさんはスワヒリ語で「ごちそうの木」のストーリーテリングを聞かせてくれました。絵本のページをめくりながら、大きな身振り手振りで表情豊かに語るキラカさんのお話は、言葉を理解できなくても十分楽しむことができました。終了後は場所を「絵本とおはなしの店 おばあさんの知恵袋」に移し、キラカさんとさくまさんのサイン会も行われました。

2017年8月4日金曜日

【本の紹介】庭のたからもの



 庭の身近な植物は、季節の移り変わりと一緒に私たちの生活を豊かにしてくれます。そんな植物こそ私たちの「たからもの」です。家に庭がなくても大丈夫。ベランダや公園、そして毎日通る道でもたからものは見つかります。この絵本でおさらいしましょう。
 見開きページごとにテーマを決めて、植物の楽しみ方や育て方をイラストと一緒に紹介します。春夏秋冬で、さまざまな楽しみがあります。植物を楽しむことは、季節を楽しむことでもあります。
 植物にはたくさんの種類があり、勇んで園芸店に行っても何をどうやって楽しめばよいのか迷ってしまうでしょう。自分なりのテーマを見つけることが大事です。そのためのヒントをこの絵本からもらいましょう。
 果物好きなら「夏の収穫を楽しむベリーガーデン」のページが面白そう。ジューンベリーやフサスグリ、チョコベリーといったベリー類があることは知りませんでした。当店の名前のもとになった桑の実もベリー類の一つで、英語ではマルベリーといいます。

庭のたからもの
大野八生

小学館
本体1350円+税
2017年1月31日発行

2017年8月3日木曜日

【本の紹介】くまのまあすけ



 子熊のまあすけは、とてもマイペースな性格です。でも、約束したことはきちんと守ります。最後はきっといいことが待っています。
 まあすけが原っぱ遊んでいると、風に吹かれて風船が飛んできました。捕まえようとしますが、木の切り株に足を引っ掛けて「すってーん」。残念、ゴリラに取られてしまいました。
 その後、まあすけは豚のおじさんから大根の見張りをお願いされますが、向こうの丘で風船が木に引っかかっていると聞いてソワソワし始めます。「そうだ、だいこんも つれていこう」と思いついたまあすけ。大根と一緒にとっとこ丘に向かいますが、大丈夫でしょうか。
 この絵本は1980年代に出版され、作者の馬場のぼるの生誕90周年を記念して今年復刊されました。素直でやさしいまあすけは誰からも好かれるキャラクター。親子で楽しめる絵本です。

くまのまあすけ
馬場のぼる

ポプラ社
本体1000円+税
2017年5月発行

2017年8月2日水曜日

【本の紹介】ちいさなかえるくん



 同じ作者の「きゃべつばたけのぴょこり」という絵本では、蝶々がカエルに危うく食べられそうになり、間一髪のタイミングで無事大空に飛び立ったところで終わりました。その場面からこの絵本が始まっている訳ではなさそうですが、登場しているのは同じカエルのように見えます。
 主人公になったカエルですが、あまり格好のよい姿を見せてくれません。ごちそうにしようと思った蝶々には逃げられてばかり。クマンバチはこわいから近寄れないし、クモも草陰に隠れてしまった。そうこうしているうちにヘビが出てきたから、さあたいへん。一目散に逃げ出しました。
 主人公のカエルはアマガエルでしょう。緑色の小さいカエルです。昔は田舎の田んぼ近くでよく見かけ、よく捕まえたことを覚えています。
 この作品も最初は「ちいさなかがくのとも」で発表されました。2005年5月の発行でした。でも、生き生きとした描写は決して古臭さを感じさせません。描き込まれた絵を味わいましょう。草花の色彩が豊かで華やかです。

ちいさなかえるくん
甲斐信枝 さく

福音館書店
本体900円+税
2017年5月20日発行

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...