ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2017年9月30日土曜日

【本の紹介】鳥のくらし図鑑 身近な野鳥の春夏秋冬



 くわのみ書房がある千葉県習志野市には、バードウォッチングを気軽に楽しめる谷津干潟があります。バードウォッチングを通じて、多くの人が、鳥に親しむ機会を持つことができるでしょう。鳥に興味を持ち始めた人に、この絵本をお勧めします。
 身近な野鳥を取り上げて、春夏秋冬の暮らしを紹介します。その数は39種類。スズメやヒヨドリ、ムクドリなどは、どなたにもお馴染みの鳥たちです。カワセミも取り上げています。渓流の宝石と言われているカワセミですが、習志野市内の谷津干潟自然観察センターや森林公園など、身近なところで観ることができます。
 解説は1種類ずつ、イラストと説明文を組み合わせ、読みやすく構成されています。飽きることなくページをめくってしまい、読み終われば誰でも「野鳥博士」になれそうです。
 知識が増えれば、鳥たちへの興味も増してきます。この絵本をきっかけに、野鳥の観察に出かけてみてはいかがでしょうか。

鳥のくらし図鑑 身近な野鳥の春夏秋冬
絵・文 おおたぐろまり
監修 上田恵介

偕成社
本体2000円+税
2016年11月発行

2017年9月29日金曜日

【本の紹介】うみべのまちで



 海辺に広がる町があり、「ぼく」はそこに住んでいます。父親が働く炭鉱は海の下。トンネルを掘って、石炭を採っています。
 父親は子どもが目を覚ます前に家を出ます。炭鉱で働く大勢の人たちがトロッコに乗って海の下に行きます。ようやく起きた子どもが窓のカーテンを開けました。目の前に海が広がります。子どもは知っています。「そのころ、とうさんは うみの した。くらい トンネルで せきたんを ほっている」。
 子どもの祖父も、父親と同じように炭鉱で働いていました。子どもは、自分もいずれ炭鉱で働くことを知っています。静かな時の流れが、色調を抑えた絵で表現されています。海の輝きと炭鉱の暗さの対比が胸を打ちます。
 炭鉱は常に危険を伴う場所です。父親が無事家に戻り、夕食を済ませたあと、家族はベランダに出ます。お茶を飲みながらおしゃべりをする父親と母親。幸せな時間がいつもでも続くことを祈ります。

うみべのまちで
文/ジョアン・シュウォーツ
絵/シドニー・スミス
訳/いわじょうよしひと

BL出版
本体1600円+税
2017年7月15日発行

2017年9月28日木曜日

「暮らしの手帖90 10-11月号」をお届けします!



 「暮らしの手帖90 10-11月号」(暮しの手帖社)をお届けします。表紙に「autumn 2017」の文字。街はすでに秋の気配が色濃くなってきました。
 ページをめくると、美味しそうなりんごのお菓子の写真に目が止まりました。「りんごのタルト」です。煮りんごががタルト台に、綺麗に並びます。「米粉でつくるりんごのお菓子」がテーマの特集企画でつくり方が解説されています。小麦粉や乳製品、玉子を使わないので、これらにアレルギーがある人でも安心して食べられます。
 絵本や児童書でもお馴染みの作家たちも登場します。ヨシタニシンスケさんが料理の特集企画の「これでよゆうの晩ごはん」でイラストを担当しています。クスッと笑ってしまう、とても楽しいイラストです。「あの時のわたし」という記事では、童話の「くまの子ウーフ」などの作者である神沢利子さんのお話をまとめました。
 今号も内容は盛りだくさん。どうぞ手に取ってご覧ください。

2017年9月27日水曜日

「木とこどものくらし展」で出張販売します!




 「木とこどものくらし展」が習志野市本大久保の「gallery & rentalspace 林檎の木」で開かれます。10月26日(木)から29日(日)までの4日間、高知県の四万十ヒノキでつくられたこども家具・玩具を展示販売します。
 くわのみ書房は会期中の28日(日)に出店し、絵本などを出張販売します。当日は「森と木にまつわるおはなし会」で絵本の読み聞かせにもチャレンジします。大勢の方のご来場をお待ちしております。

「木とこどものくらし展」
会期:2017年10月26日(木)〜29日(日)
会場:gallery & rentalspace 林檎の木(http://ww.gallery-ringonoki.com/)
   千葉県習志野市本大久保3-8-3河合ビルB2F

 今回の展示販売には、高知県の四万十川流域で生育した良質なヒノキを100%使用した「ヒノキカグ大正集成」(http://hinopkikagu.com/)のこども家具が登場します。ラインネップはキッズチェア、デスク、ベンチ、学習机、乗って遊べる玩具など。この機会に、ヒノキの心地よさにぜひ触れてみてください。
 くわのみ書房は10月28日(土)11:00~17:00に出店します。「森と木にまつわるおはなし会」は同日13:30~14:00と15:30~16:00の2回行う予定です。

2017年9月24日日曜日

【本の紹介】て(こどものとも年少版2017年10月号)



 人はいろいろな場面で手をつなぎます。手をつないだとき、相手の思いが伝わってくるような気がします。手は大切なコミュニケーションの道具の一つです。
 手にはその人の歴史が刻まれていると思います。皺がたくさんある手、ごつごつした手、すべすべの手など、手の表情は人それぞれです。大切な人の手はどんな表情をしていたか、ふと思い出すときもあるでしょう。
 この絵本には家族一人ひとりの手が丁寧に描かれています。切り絵の手法を使い、和紙の繊維を皺の表現に活かすなど、工夫を凝らした仕上がりです。この絵本が自分の家族の手に思いを馳せるきっかけになるかもしれません。裏表紙には「ぼく」が妹にりんごを手渡す絵があります。兄の優しい気持ちが妹につながります。
 編集部だよりをみると、原画を描く際に千葉の津田沼囲碁クラブを取材したそうです。作者が私たちの街の近くまで来ていたとのことで、絵本に対する親しみも増しました。

て(こどものとも年少版2017年10月号)
とのむらせつこ(外村節子) さく

福音館書店
2017年10月1日発行
本体389円+税

2017年9月23日土曜日

【本の紹介】にかいだてバスにのって(こどものとも年中向き2017年10月号)



 2階建てバスといえばロンドンです。「ぼくは ロンドンという まちに すんでいる」と話し始めた男の子。今日はおとうさんとお出かけです。
 2階建てバスの特等席は、2階の一番前の席です。運よくその席に座れた男の子は「まわりが ぜんぶ みえるね!」と興奮気味。驚いたことに、馬がいました。ロンドンでは街中で馬を見かけることがあります。警察の騎馬隊のパトロールだそうです。
 この絵本は何か不思議な雰囲気です。絵をよく見ると、人の顔は写真です。作者は自分で撮影した写真のほか、雑誌や古紙などを使ったコラージュで作品を仕上げる手法を得意としているようです。この作品もそうした手法で作られました。とくに今回は撮影会まで開いて、たくさんの人にさまざまなポーズをとってもらったそうです。
 この絵本に登場する2階建バスは5年ほど前に導入された新しい型のバスです。斬新なデザインがロンドンの街に馴染んでいます。「とうちゃーく!」といって男の子がバスを降りたところは動物園。楽しい一日になりそうです。

にかいだてのバスにのって(こどものとも年中向き2017年10月号)
せきなつこ さく

福音館書店
2017年10月1日発行
本体389円+税

2017年9月22日金曜日

建設会社のPR紙で紹介されました!



 くわのみ書房が総栄建設のPR紙で紹介されました。総栄建設は習志野市実籾を中心に地域密着型で事業展開する建設会社です。PR紙の「ソーエーNEWS」は、朝日、読売、日本経済の各新聞の折り込み広告として、主に実籾周辺の各家庭に配布されているそうです。
 ソーエーNEWSはB4サイズの用紙に両面印刷で制作されています。黄色の用紙で、折り込み広告の中でも目立ちそうです。発行回数をかなり重ね、くわのみ書房の記事が掲載された号数はNo.132となっています。
 地域の気になるお店を紹介する「聞いて!聴いて!きいて!」と題したコーナーでくわのみ書房を取り上げていただきました。9月15日に社員の方の取材を受け、丁寧な記事に仕上げていただきました。
 くわのみ書房はオープン後すでに1年以上が経過しました。でも、まだまだ地域で知られた存在になっていないと感じるときがあります。こうした機会に、より多くの方のお目にとまることになれば幸いです。

2017年9月21日木曜日

ビブリオパドルに参加しました!



 今月もビブリオパドルに参加しました。東京都国分寺市の絵本・児童書専門店「おばあさんの知恵袋」で毎月行われている絵本好きの集まりです。
 20日の午後7時から始まり、今回の参加人数は9人でした。参加者は自分のお気に入りの絵本を紹介します。他の人の紹介を聞くだけでも構いません。
 私が持参した絵本は「パパはジョニーっていうんだ」(BL出版)。主人公のティムは、ママとこの町に引っ越してきて以来、パパと会っていませんでした。でも、今日は一日、パパと過ごすことになっています。ティムが電車のホームで待っていると、パパがやってきて抱き上げてくれました。パパと一緒に町に出たティムは、出会った人々に自慢気にいいます。「ぼくのパパだよ。ジョニーっていうんだ」。ティムの気持ちが伝わり、その切なさに胸を締めつけられる気持ちになります。
 そのほかに今回紹介された絵本は、「ろうそくいっぽん」(小峰書店)、「うみべのまちで」(BL出版)、「山のごちそう どんぐりの木」(理論社)、「それ ほんとう?」(福音館書店)、「ヘリコプターたち」(偕成社)、「おなかのすくさんぽ」(福音館書店)など。どれも個性的な楽しい絵本ばかりでした。今回もたくさんのよい刺激をいただきました。

2017年9月20日水曜日

赤羽末吉の黒姫山荘



 国際アンデルセン賞画家賞を受賞するなど国際的にも評価の高い絵本作家の赤羽末吉は、長野県の黒姫高原に山荘を持っていました。黒姫は赤羽の作品にどのような影響を与えたのでしょうか。赤羽の三男の妻である赤羽茂乃さんが9月19日、親族ならではのエピソードを交えてお話しされました。
 赤羽が黒姫山荘を建てたのは1965年。「かさじぞう」で絵本作家としてデビューを果たしてはいたものの、まだサラリーマン生活が続き、自宅は賃貸住宅だった時代だそうです。黒姫には黒姫山、妙高山の2つの山が並び、赤羽は多くのスケッチを残しました。それらのスケッチは間違いなく赤羽の作品に活かされているようです。また黒姫は多くの絵本作家や児童文学者たちが別荘を持つゆかりの地であり、赤羽とも交流を深めました。赤羽の「絵本よもやま話」(偕成社)には、黒姫における瀬川康雄や若山憲との交流が描かれています。赤羽が山荘に瀬川を招いて過ごしているとき、児童文学作家のいぬいとみこが食事をつくって持ってきたこともあったそうです。いぬいは料理がとても上手だったそうです。黒姫は作家同士がお互いに刺激を与え合うところになりました。
 「絵本よもやま話」には宮沢賢治の「水仙月の四日」を絵本にしたときの話も書かれています。赤羽は雪の山に10日ほどいたとき、吹雪の日に山に登り、スケッチはせず、その印象をメモしたそうです。賢治の抽象的な詩の世界を描くには、一度抽象的な文にして、その文から絵にした方がよいと考えたからです。そのメモは濡れてしまい、赤羽は帰ってからスケッチブックの裏表紙に書き写しました。そのメモの写真も見せていただき、赤羽の絵本制作の現場を間近に見る思いでした。
 今回の講演は「赤羽末吉と絵本作家たちが愛した風景」と題したツアーの学習会として行われました。このツアーは10月27日から28日の2日間の行程で、黒姫・妙高散策を通して秋の信州を楽しみます。ツアーの問い合わせは富士国際旅行社(電話03-3357-3377)まで。

2017年9月17日日曜日

“PLEASE 7” が入荷しました!



 ファッション誌の “PLEASE 7” が入荷しました。刺激的なファッション写真から、新しい自分を発見するためのインスピレーションを感じましょう。
 "A BOY MEETS A GIRL"と題した記事では男女のシェアルックを提案しています。ペアルッックなんてはずかしい・では、ファッションアイテムを恋人同士で交換して使ってみてはどう? 男子は細身に、女子は大ぶりに使えると」いいます。なかなか斬新な発想です。
 栃木県の黒磯ガイドも面白い。黒磯は何年か前から、古い家具を買うなら東京より安くてセレクトもよいなどという話が出ていたそうです。居心地のよさそうなカフェも紹介されています。
 そのほか、多彩な記事が満載です。どうぞ、お手にとってご覧ください。

2017年9月16日土曜日

大人も絵本を楽しみましょう!



 児童書専門店の会留府で毎月開かれる「絵本の会」に参加するため、千葉市まで出かけました。今回のテーマは「大人に絵本を」。大人を意識した絵本もたくさん出版されています。一味違う大人の絵本の中から、自分のお気に入りを探しましょう。
 私が持参した絵本は「岸辺のふたり」(くもん出版)。父と娘の別れ、そして娘が年老いた後の父との再会を、シルエットを強調して色彩を抑えた絵で描きます。父は岸辺からボートに乗ってどこかに行ってしまいます。父と別れ、娘は自立しますが、子育ても終えて人生が終わろうとするとき、別れた岸辺で父と再会を果たします。父は自立した娘を、ずっとどこかで娘を見守っていたのかもしれません。
 この絵本は、アニメーションとして作られた作品を監督自身が絵本化したものです。アニメーションがそのまま絵本になったような印象があり、評価が分かれるポイントになりそうです。アニメーションをもとに作られた絵本には「きりのなかのじはりねずみ」(福音館書店)があり、この絵本も話題に上りました。
 このほか、「ラストリゾート」(BL出版)、「パリのおばあさんの物語」(千倉書房)が紹介されました。新刊の絵本では「森のおくから」(ゴブリン書房)、「ホウホウフクロウ」(福音館書店)が取り上げられました。また、テーマから離れますが、「みつごのおてんばむすめ いだずらだいすき」(DEMPAペンタン)も紹介されました。

2017年9月15日金曜日

YAの会で「ペンギン・ハイウェイ」



 今月のYA(ヤングアダルト)の読書会で取り上げたテキストは「ペンギン・ハイウェイ」(森見登美彦、角川書店、角川文庫)でした。千葉市の児童書専門店の会留府に「YAの本を読む会」のメンバーが集まりました。
 読み始めはとくに意識していなかったのですが、読み進めているうちにこれはSFだったのかと思うようになりました。この作品が第31回日本SF大賞を受賞していることは読み終えてから知りました。主人公は小学4年生のアオヤマ君。頭が良くて努力家のアオヤマ君はいつもノートを持ち歩き、日々いろいろな研究を重ねています。アオヤマ君の住む街に突如ペンギンが多数現れ、当然アオヤマ君はその研究を進めます。さらに不思議な現象が続き、アオヤマ君はそれらの研究がやがて一つに収束することに気づきます。すべてがつながったとき、アオヤマ君の目に世界はどう映るのでしょうか。
 読書会メンバーによると、作者は映画の「惑星ソラリス」が好きで、その影響を受けたようです。また作者は「人間が理解できる領域と理解できない領域を描いてみようと思った。少年が全力で世界の果てに到達するため、自分が子どものころに考えた根源的な疑問、欲望、夢を埋め込んだ」といっているそうです。
 この作品の作者は大好きな作家の一人です。作品に馴染めないというメンバーもいましたが、ワクワクしながら読み始め、最後まで面白く読み終えることができました。

2017年9月14日木曜日

【本の紹介】海のかたち ぼくの見たプランクトン(たくさんのふしぎ2017年10月号)



 ため息が出るような美しい写真に圧倒されてしまいます。これはプランクトンの仲間たちを紹介する写真絵本です。プランクトンは水中を漂って暮らす生き物たちの総称です。もともとギリシア語で「放浪者」という意味だそうです。
 ほとんど透明な体を持ったプランクトンの姿をカメラがあざやかに捉えました。とくに海面のすぐ下など、太陽の光がよく入る浅い海には、透明な生き物が多くいるそうです。透明な体は光を通し、不思議な輝きを放ちます。水や光の輝きに溶け込み、天敵から逃れるための最高のカモフラージュにもなるそうです。
 撮影場所は山口県の青海島というところです。端から端まで歩いて3分もかからないような小さな湾があり、海面の1メートルから2メートルほど下が多くの出会いの場になりました。意外と身近なところで撮影していることに驚きます。撮影場所には、海底の地形や潮の満ち引き、季節や風向きのなどの影響で、遠い沖や深い海から多くの生き物が集まります。
 作者は写真を撮影している間、まるで宇宙旅行をして見たことも無いような生き物たちに遭遇しているような気分だったそうです。そうした生き物たちの体は独特の形をしています。想像もできないほど長い時間をかけてつくられてきた形です。作者が言うように、海が作った海のかたちなのです。

海のかたち ぼくの見たプランクトン(たくさんのふしぎ2017年10月号)
吉野雄輔 文・写真

福音館書店
2017年10月1日発行
本体667円+税

2017年9月13日水曜日

【本の紹介】つくってあそぼう あやつりにんぎょう(かがくのとも2017年10月号)



 子どものころ、操り人形のテレビ番組をわくわくしながらみました。操り人形を自由に使えたら楽しいと考え、紙粘土を材料に自分で作ったこともあります。この絵本は、操り人形を厚紙で作る方法を教えてくれる工作の絵本です。
 簡単に作れるものから、たくさんの部品で作る複雑なものまで、いろいろな操り人形の作り方が紹介されています。付録に型紙が付いています。コピーを取って厚紙などに貼り、切り取れば部品になります。
 子どもは人形遊びが大好きです。自分自身が人形になりきったり、あるいは人形を友だちに見立てて遊び相手になってもらったり、自然に想像力を発揮して楽しみます。操り人形は、より複雑な動きで深みのある演技をすることができます。子どもが人形を動かし演じることを、大人も一緒に楽しみましょう。
 工作をする際は、はさみや針などを使う場面もあります。どうぞ安全に十分ご配慮ください。

つくってあそぼう あやつりにんぎょう(かがくのとも2017年10月号)
林由未 さく

福音館書店
2017年10月1日発行
本体389円+税

2017年9月10日日曜日

夏の終わり



 会留府の「えるふ夏のお話し会」に行きました。会留府は千葉市の絵本・児童書専門店です。9月9日(土)午後7時から、お店で昔話の素話や絵本の読み聞かせや紙芝居を楽しんだあと、外に出て花火もやりました。夏の終わりのひとときを、子どもたちと一緒に過ごしました。

2017年9月9日土曜日

おじいちゃんとおばあちゃんの絵本をテーマコーナーに並べました!



 おじいちゃんとおばあちゃんは、子どもたちにとってちょっと不思議な人たちかもしれません。
 たくさんのことを知っていて、何でもやさしく教えてくれるからです。
 おじいちゃんやおばあちゃんと、もっと仲良くしたいと思っている子どもたちがいます。
 そんな子どもたちにぴったりの絵本を本棚からピックアップしました。

2017年9月8日金曜日

【本の紹介】はしをわたってしらないまちへ(こどものとも2017年10月号)



 毎日帰りの遅いおとうさんが珍しく早く帰ってきた日、「うみのうえをあるこうか」と男の子を誘います。年に一度、海にかかる大きな橋をたくさんの人たち渡るイベントがあるので参加しようというのです。
 橋を渡る日曜日は、いいお天気になりました。空にカモメが飛んでいます。橋の下を見て、男の子は「ひゃあ」と声を出します。海に吸い込まれそうになったからです。橋の反対側には逆方向に歩く人たちがいます。「おーい」と手を振ると、同じように手を振ってくれました。大勢の知らない人同士が手を振り合っています。橋を渡る人たちが一つにつながり、大きな喜びが満ち溢れている場面です。男の子は疲れも吹っ飛び、また元気になります。
 男の子が渡った橋は、瀬戸内海のしまなみ海道にあります。しまなみ海道は広島県の尾道から愛媛県の今治まで、島伝いに続く全長約80kmの道です。絵本の作者二人もこのイベントに参加し、実際に橋を渡ったそうです。かなりの距離を歩き、疲労困憊になったお二人の姿も絵本のどこかに描かれているそうです。
 男の子もがんばって橋を歩きました。橋の向こう側に着けば、そこは知らないまちです。男の子は、また橋を渡りたいとおとうさんに言います。もう一つ橋を渡れば、また知らないまちがあります。男の子の世界がだんだん広がります。

はしをわたってしらないまちへ(こどものとも2017年10月号)
高科正信 文
中川洋典 絵

福音館書店
2017年10月1日発行
本体389円+税

2017年9月7日木曜日

「母の友」2017年10月号が入荷しました!



 子どもと一緒に絵本を読む。この体験は大人にとってどういう意味を持つのでしょうか。「母の友2017年10月号が「子どもと絵本を読む、ということ」を特集のテーマに取り上げました。
 幼稚園・保育園に長年勤務した中村柾子さんは、作家・マンガ家で1歳半の子の母親でもある小林エリカさんとの対談で「子どもに本を読むことは『自分を知る』ことにつながる」と言っています。本のおもしろさに気づくことで、自分自身を見つめ直す機会を得ていると言います。絵本を読む楽しみは、決して子どもだけのものではないのです。
 特集のテーマに沿って10人の方がエッセイを書いています。その中の一人が現代美術家のさわひらきさん。イギリスのロンドンで暮らし、妻はフランス人。娘さんは日本語、フランス語、英語に囲まれて生活しています。お父さんは日本語の絵本、お母さんはフランス語の絵本を読んであげているそうです。さわさんは、意思や感情を言葉(英語だそうです)で表現できるようになった娘さんをみて、自分が日本人でありフランス人であることを肯定的に捉えているようだといいます。そうした子どもの成長の背景に、絵本が持つ力も一役買っているようです。
 10人それぞれの体験に基づく文章に、多くの人が共感するところを見出すことができそうです。多彩な絵本が紹介され、どれも読んでみたくなってしまいます。

2017年9月6日水曜日

「よるのおと」の青


 今年6月発刊の「よるのおと」(たむらしげる、偕成社)は独自の色使いが絵本好きの間で大きな話題になった絵本です。使われている色は決して多くないようですが、とくに澄み切った深みのある青で描いた夜の色が印象的です。この絵本を出版した偕成社の編集担当の方から、その制作過程についてお話を聞かせていただく機会がありました。千葉市の絵本屋さんの会留府が企画し、絵本好きや図書館に勤める人たちが9月4日に偕成社を訪ねました。
 作者のたむらさんと編集担当者は7年ほど前、新しい絵本をつくろうを話し合いを始めました。そのとき、読み聞かせの会などで最後に面白い結末を迎える内容の絵本が好まれるようになっているけれど、あえてそれを避けるような絵本をつくろうということになったそうです。お手本になったのが「よあけ」(ユリー・シュルヴィッツ作・画、瀬田貞二訳、福音館書店)でした。「よあけ」は漢詩をモチーフにしていることで知られていますが、「よるのおと」は松尾芭蕉の「古池や」で始まる俳句がアイデアの元になっています。俳句をそのまま絵本で使うことも考えたそうですが、単に俳句を解説するような内容になってしまうと考え、そこから「思いっ切り離れて」構想を練ったそうです。
 独自の色使いは「かきわけ版」という印刷の手法を採用したことで実現しました。かきわけ版の特長は、濁りのない色でシンプルに仕上げられることです。通常のカラー印刷と同じように4色を使っていますが、インクの色が異なります。通常はマゼンタ(赤紫)、シアン(青)、イエロー(黄)、スミ(黒)の4色を使い、それぞれの色の版がつくられ、4色の掛け合わせでさまざまな色が表現できるようになります。一方、この絵本は、特色と呼ばれるインクから選んだ青、紫、黄、そしてスミが使われています。特色には、一口で青といっても多くの青があります。この絵本で使う特色を選んだのは作者です。そして、4色それぞれの版も作者がつくりました。この絵本の色は、作者のイメージにもっとも近い色がシンプルに使われているのです。編集担当の方も触れていましたが、その色使いのいさぎよさは、俳句という文学のいさぎよさと通じるところがあるようです。
 実は「よあけ」も、かきわけ版で印刷されているそうです。「よるのおと」は作業のやり直しも比較的容易にできるパソコンを使って版をつくりましたが、作者に大きな負担を強いるものだったようです。「よあけ」がまだパソコンなどなかった時代につくられたことに驚くばかりです。最後にもうひとつ。「よるのおと」は4色で印刷されていると書きましたが、さらに1色加えて銀が使われているページがあります。どのページでしょうか。ご興味がある方は、ぜひ探してみてください。





2017年9月3日日曜日

【本の紹介】白い花びら



 住宅地から林に向かう道が、一人の少年を幻想の世界に導きます。少年は少女と出会い、二人の短い物語が始まります。
 林の道は広い野原につながっていました。再開した二人が野原にあった大きな岩に跨ると、それは馬に変わり草の上を走り出します。先を行く少女の髪の先から白い花びらが降ってきました。やがて少女の姿はだんだん小さくなり、消えてしまいます。残された言葉は「またね。また会おうね」。
 馬で走り回る場面の展開が、うっとりするくらい鮮やかです。背景は青から緑、そして一面のピンク一となり、青に戻ります。装丁も美しい。表紙カバーには銀箔の箔押し加工が施され、日本画の作品をみるような趣きです。
 少年は再び少女と出会った場所を訪れます。そこには花をいっぱいに咲かせているさくらの木がありました。花びらが静かに降る中、聞こえてくるのは「またね。また会おうね」という声。物語は終わっていないようです。

白い花びら
やえがしなおこ 文
佐竹美保 絵

岩崎書店
本体1600円+税
2017年2月28日発行

2017年9月2日土曜日

【本の紹介】つちづくり にわづくり



 この絵本に出てくる庭は家庭菜園です。ニンジンやエンドウ、サヤインゲン、キュウリ、トマト、ズッキーニ、ヒマワリ、バジル、カボチャなど、たくさんの野菜がつくられます。草取りをしたり種をまいたり、世話をするのは女の子とおばあちゃん。でも、二人だけではないようです。
 「小さな庭師たち」も大活躍しています。地面やその下にいるミミズや虫たちのことです。彼らがいないと花や野菜は元気に育ちません。自然を大切にした庭や菜園にはたくさんの生きものたちが住んでいて、人間と力を合わせて野菜などを育てています。
 まだ雪が残る春先からお話が始まります。種まきをして、夏には草取り。収穫の秋を迎え、冬支度を済ませます。1年を通じて庭のようすが描き込まれ、そこには多くの生き物が潜んでいます。ページをめくるたびに新たしい発見がありそうです。
 柔らかいタッチの絵から、ふかふかの土をイメージすることができます。巻末に、この絵本に出てくる生き物たちの解説が付いています。アメリカのお話らしく、スカンクも出てきます。

つちづくり にわづくり
ケイト・メスナー 文
クリストファー・サイラス・ニール 絵
小梨直 訳

福音館書店
本体1600円+税
2017年5月15日発行

2017年9月1日金曜日

市河紀子さんの講演会がありました!



 フリーランス編集者で白百合女子大学非常勤講師の市河紀子さんが習志野文庫連絡会の定例会で講演しました。絵本の「にじ」(新沢としひこ詩、あべ弘士絵、アスク・ミュージック)は市河さんが編集を担当しています。
 習志野文連の定例会は9月1日、習志野市本大久保の大久保公民館で開かれました。講演会では、市河さんが出会った個性的な作家たちとのエピソードを含め、興味深いお話をたくさん聞くことができました。
 市河さんは児童書出版社を経てフリーランス編集者となりました。これまでに多くの絵本や詩集などを手がけ、多くの作家、詩人と交流を深めました。市河さんが手がけた主な仕事のリストをみると、佐野洋子、谷川俊太郎、まど・みちお、工藤直子、あべ弘士、新沢としひこ、角野栄子、阪田寛夫、河合隼雄といった著名な作家たちの本が並びます。佐野洋子さんのエッセイに市河さんが登場するすこともあったそうです。
 市河さんは「本に導かれるように生きてきた」と語ります。本づくりにかける市河さんの情熱は、決して作家たちに勝るとも劣らないと感じました。

【本の紹介】イヌワシつかいのエルジャン

 モンゴルの高地に住む子どもの成長を描いた絵本です。そこではイヌワシを使う狩りが古くから行われていました。子どもの「エルジャン」は父親に習い、イヌワシつかいへの道を歩み始めます。  お話はイヌワシのヒナを捕まえに行くところから始まります。イヌワシをヒナから育てあげ、狩りができるよ...