ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2017年11月30日木曜日

【本の紹介】IMAGINE イマジン〈想像〉



 ジョン・レノンが歌う「イマジン」が絵本になりました。口ずさみやすいメロディと平易なことばで世界の平和を求めたこの歌は、多くの人たちから愛されています。
 絵本では一羽の鳩がメッセンジャーを務めます。オリーブの枝をくわえながら飛び回り、この歌が伝えるメッセージを届けます。あたたかみのあるシンプルな絵は、歌を離れていろいろな物語を紡ぎ出すことでしょう。
 すべての人々が平和に暮らすことを想像してごらんと、鳩の「ぼく」は呼びかけます。他人からは「夢見がち」とあしらわれてしまうかもしれません。でも、「ぼく」は知っています。「ぼく」は決して一人ではない。そして、「きみもいつか来ないか」と誘います。
 この歌は1971年に発表されたそうです。45年以上が過ぎた今でも、残念ながらこの歌の願いとは程遠い現実があります。それでも希望はあります。この歌に誘われた大勢の仲間たちがいるからです。この絵本でも「ぼく」の仲間たちが集まりました。いろいろな鳥たちに囲まれた鳩の「ぼく」はとてもうれしそうです。(店主)

IMAGINE イマジン〈想像〉
ジョン・レノン 詩
ジャン・ジュリアン 絵
ヨーコ・オノ・レノン 序文
岩崎夏海 訳

岩崎書店
本体1700円+税
2017年11月30日発行

2017年11月29日水曜日

今年も刺しゅうのクリスマスカードを販売します!




 今年も刺しゅうのクリスマスカードを用意しました。クリスマスツリーやキャンドル、プレゼントを入れる靴下など、クリスマスにちなむ題材を手づくりの刺しゅうで描きました。プレゼントに添えて、あるいはカードだけでも、大切な人にメッセージを添えてお届けしましょう。(店主)

2017年11月26日日曜日

のはらうたカレンダーを販売しています!



 工藤直子さんによる詩集の「のはらうた」から生まれたカレンダーを販売しています。
 「のはらうた」の著者は「くどうなおこと のはらみんな」となっています。詩をつくるのは、動物や植物、虫、風など野原にいるいろいろな連中の「のはらみんな」で、その代理人が「くどうなおこ」という訳です。
 のはらうたカレンダーには、のはらみんなのメンバーの詩と絵が毎月一つずつ版画で描かれています。版画をつくったのは、ほてはまたかしさんです。
 2018年は戌年です。カレンダーの巻頭の干支のページでは、犬のけんきちくんが俳句を詠んでいます。どうぞお手に取ってご覧ください。(店主)

2017年11月24日金曜日

ジグソーパズルやゲームカードを販売しています!




 ジグソーパズルやかるた、メモリーゲーム、トランプが入荷しました。年末年始のプレゼントにいかがでしょうか。子どもたちと一緒に楽しいひとときをお過ごしください。(店主)

2017年11月23日木曜日

ビブリオパドルに行きました!



 今月もビブリオパドルに行きました。東京都国分寺市の絵本・児童書専門店「おばあさんの知恵袋」に毎月、絵本好きが集まります。
 22日午後7時の集合で、今回は9人が参加しました。自分のお気に入りの絵本を持ち寄って紹介することになっていますが、他の人の話を聞くだけの参加でも構いません。
 私が取り上げた絵本は「パパのカノジョは」(岩崎書店)でした。パパの新しいカノジョに少し戸惑う女の子が登場します。パパはカノジョのことを「スイートポテトちゃん」と呼んでいるようですが、女の子は「あたしはなんとも よばないもんね」と突っ張っています。女の子から見れば、スイートポテトは「かわってる」人で、「すっごくカッコわるい」。でも、今までのカノジョたちより「いちばん長つづきしている」といいます。女の子もそれに満足しているようです。女の子とスイートポテトのビミョウな関係を通じて新しい家族のあり方をカラッと描いています。
 そのほか、「ミルクこぼしちゃだめよ!」(ほるぷ出版)、「パンやのくまさん」(福音館書店)、「バンブルアーディ」(偕成社)、「かばんうりのガラコ」(文溪堂)、「ふたりはふたご」(くもん出版)が紹介されました。外国の絵本の「Max at Night」も紹介されました。今まで知らなかった絵本も含め、どれも楽しい絵本でした。

2017年11月22日水曜日

【お知らせ】えほんのおはなしタイム



 「えほんのおはなしタイム」を開催します。5歳くらいまでの子どもたちを対象に、くわのみ書房のスタッフが絵本を読みます。絵本と一緒に楽しいひとときを過ごしましょう。

日時:2017年12月3日(日)午前11時~11時30分
会場:くわのみ書房
参加費:無料


※参加申し込みは必要ありません。お気軽にご参加ください。

2017年11月19日日曜日

【お知らせ】おとなの声読会



 「おとなの声読会」を開催します。お気に入りの本の紹介と合わせて、お好きな1ページを声に出して読んでみましょう。新しい発見があるかもしれません。みなさまのご参加をお待ちしています。

◎気に入りの本を一冊紹介しましょう。
◎お気に入りの本の中からお好きな1ページを声に出して読んでみましょう。
◎紹介された本について感想を語り合いましょう。

日時:2017年12月1日(金)午後7時~8時30分
会場:くわのみ書房
参加費:500円(コーヒー・お菓子付き)

※参加申し込みは、くわのみ書房まで電話、Eメール、Facebookメッセージなどでご連絡ください。
 電話:047-419-3567
 Eメール:mulberrybookstore@gmail.com
 Facebookページは「くわのみ書房」で検索

【本の紹介】さるとかに



 昔話の「さるかに合戦」でお馴染みのお話です。繰り返しを多用したリズミカルな文章が楽しく、最後まで飽きさせません。
 絵の迫力が読む人を物語の世界に引き込みます。敵役のさるが憎々しげに描かれ、かにの可愛らしさと対比して感情移入がしやすいように工夫されています。一方で、ほかのキャラクターの個性は抑え気味で、あくまでストーリーの面白さを重視した絵本の構成になっていると思います。文章と絵が見事に響き合い、奥行きの深さを感じさせます。
 この絵本は1974年に別の出版社から発行された作品の復刊です。復刊され、こうして手に取ることができたことを素直に喜びたいと思います。
 赤羽末吉の別の作品が、同じ出版社から「赤羽末吉のむかし話絵本」として続いて発刊される予定もあるようです。そちらも楽しみです。(店主)

さるとかに
神沢利子 文
赤羽末吉 絵

BL出版
本体1500円+税
2017年10月1日発行

2017年11月18日土曜日

【本の紹介】ずんずんばたばたおるすばん(こどものとも年少版2017年12月号)



 子どもが初めてお留守番をするとき、ちょっと怖いと思うかもしれません。でも、何回かやっているうちに、実はとても楽しいことだと分かります。大人がいる間は姿を見せない仲間たちが登場し、一緒に遊んでくれるからです。
 この絵本に出てくる仲間はたくさんの動物たちです。おかあさんが買い物に出かけたとたん、天井から小ザルたちが降りて靴磨きを始めました。押入れにはナマケモノ、冷蔵庫にはペンギン、そしてお風呂にはクジラまでいて、思い思いに過ごしています。
 リズミカルな文章が一気に流れていき、立ち止まることはありません。明るい色使いの絵は、縦の見開きを使い、それほど広いはずもない家の中をダイナミックに描いています。
 描かれた洗濯物を注意してみると、片方足りない靴下があります。絵本の中のどこかにあるはずです。じっくり読んで、探してみましょう。

ずんずんばたばたおるすばん(こどものとも年少版2017年12月号)
ねじめ正一 文
降谷なな 絵 

福音館書店
2017年12月1日発行
本体389円+税

2017年11月17日金曜日

【本の紹介】うしさんぎゅうにゅうくださいな(ちいさなかがくのとも2017年12月号)



 表紙に牛の顔が大きく描かれています。つぶらな瞳がなんともかわいい。息づかいまで感じられそうで、迫力満点です。
 子どもがおとうさんと一緒に牧場を訪れるところからお話が始まります。牛の乳搾りを体験して楽しむようです。牧場のおじさんが「この うしの おっぱいを しぼってごらん」と言って牛を連れて来ました。「もおお」と鳴く牛の大きな声に子どもはびっくりしました。
 牛のおっぱいに初めて触る子どものわくわくした気持ちが伝わります。乳を搾っても最初はお乳が出てきません。おじさんに教わってうまく搾れたときのうれしさは格別でしょう。
 紙パックで売られている牛乳も、牛からお乳をもらってつくられています。私たちは食べ物を、命ある生き物から得ているのです。それを知ることで、私たちの生活をより豊かなものにすることができると思います。同時に、多くの生き物への感謝の気持ちを忘れたくありません。

うしさんぎゅうにゅうくださいな(ちいさなかがくのとも2017年12月号)
おおきあさみ さく 

福音館書店
2017年12月1日発行
本体389円+税

2017年11月16日木曜日

【本の紹介】あ あ(こどものとも年中向き2017年12月号)



 針金でつくられた人が二人登場し、出会いを繰り返します。ほとんど何も語られることはありません。無機的な二人であっても、出会いを喜んでいるようにも見えます。
 出会いは思わぬところに潜んでいます。意外なところで出会う二人の物語を楽しみましょう。出会いから新しい物語が始まります。
 縦長の判型で、見開きを縦に取っています。視線の流れが縦になり、高さを強調したデザイン構成が面白い効果を発揮しています。
 この絵本は、こどものとも絵本として発刊されている「あ」の姉妹編です。前作で登場した針金の人は一人だけでした。針金の人は何かに出会ったとき、一言「あ」と言います。二人が出会うから、この絵本のタイトルは「あ あ」となります。

あ あ(こどものとも年中向き2017年12月号)
大槻あかね 

福音館書店
2017年12月1日発行
本体389円+税

2017年11月15日水曜日

【本の紹介】うさおとかめきちのマラソンたいかい(こどものとも2017年12月号)



 マラソン大会がにぎやかに始まります。主人公の「うさお」と「かめきち」がどこにいるのかわからないくらい大勢の参加者が描かれています。その中から二人を探すことは、この絵本の大きな楽しみの一つです。
 イソップ寓話にも入っている昔話の「うさぎとかめ」を下地にしたお話です。マラソン大会では、うさおは悪どいことをして何とか優勝しようとしますが、最後は他の人もにやさしいかめきちが勝利を収めました。めでたしめでたし。
 マラソンコースが奇想天外です。街中からスタートして、里山に入ると富士山らしき山も見えてきます。熱い砂漠から大きな川を渡り、そして森を抜けると火の国があり、次の雪の坂道を過ぎてゴールとなりました。
 大勢の人が登場する場面は、一人ひとりがきちんと描き分けられていて圧巻です。そのページには、たくさんの物語が詰まっていそうです。きっとこの絵本を読むたびに、違った物語が飛び出してくるでしょう。

うさおとかめきちのマラソンたいかい(こどものとも2017年12月号)
中垣ゆたか 作

福音館書店
2017年12月1日発行
本体389円+税

2017年11月12日日曜日

アドベントカレンダーを販売しています!



 アドベントカレンダーは、12月1日から24日まで日付の数字が書いてある小窓を毎日1つずつ開けていくカレンダーです。小窓の中には絵が描かれています。どんな絵が出てくるか、毎日ドキドキしながら楽しむことができます。すべての小窓を開け終わると、次の日は待ちに待ったクリスマスです。
 今年もアドベントカレンダーを多数取り揃えました。子どもたちと一緒にクリスマスまで楽しくお過ごしください。(店主)

2017年11月11日土曜日

【本の紹介】シロナガスクジラ(かがくのとも2017年12月号)




 シロナガスクジラの生態を詳しく解説しています。そのダイナミックな生き方はとても面白く、遠い海の世界の冒険物語を読んでいるようでした。
 シロナガスクジラといえば、地球上でもっとも大きな哺乳類動物です。そのほか、歯は髭のような形をしていること、オキアミを食べることくらいしか知りまでした。
 一番驚いたのは、子どもを産み、育てるため、あたたかい南の海に行くことです。食べることも、寝ることも、休むこともなく泳ぎ続ける長い旅です。南の海で子育てをする半年の間、母クジラは何も食べず、体の重さは半分くらいに減ってしまうといいます。
 あたたかい海は、子育てにはよいのですが、餌になるオキアミはいません。子どもが冷たい海にも耐えられるようになると、シロナガスクジラの親子は再び北に向かいます。シャチに出会ったり、危険なことも多い旅です。北の海に近づくと、母クジラと子クジラは別々の方向に進みます。旅の間、子クジラは母クジラから多くのことを学びました。自立した子クジラが、これからたくましく生きていくことを願わずにいられません。(店主)

シロナガスクジラ(かがくのとも2017年12月号)
加藤秀弘 ぶん
大片忠明 え

福音館書店
2017年12月1日発行
本体389円+税

2017年11月10日金曜日

今月のYAの会は「紙の動物園」



 千葉市の児童書専門店の会留府で毎月開かれている「YA(ヤングアダルト)の本を読む会」で11月9日、「紙の動物園」(ケン・リュウ、吉沢嘉通編・訳、早川書房、ハヤカワ文庫SF)を読みました。作者であるケン・リュウの作品を読むのは今回が初めてです。鋭利な文章が心地よく胸に刺さります。この作家にはこれからも注目していきたいと思いました。
 7つの短編作品を集めた短篇集です。強く印象に残った作品は表題にもなった「紙の動物園」でした。主人公の「ぼく」はアメリカの少年です。母親は中国人です。父親はカタログをみて母親を選びました。二人は香港で会い、父親が母親をアメリカに呼び寄せ、1年後にぼくが生まれました。ぼくが泣くと母親は包装紙で折り紙の虎をつくってくれました。風船のように息を吹き込むと、虎は動くようになります。ぼくの願いに応じて母親は山羊と鹿と水牛もつくってくれました。ぼくは成長し、アメリカの生活に馴染めないまま母親は亡くなります。でも、紙でつくられた虎を通じて、二人は強く結ばれていたことが分かります。
 ケン・リュウは世界的に注目を集める新鋭のSF作家の一人、とのことです。1976年に中華人民共和国で生まれ、11歳のときに家族とアメリカ合衆国に移住。ハーヴァード大学で英文学を専攻しながらコンピュータ・サイエンスの授業も取り、卒業後はマイクロソフト社に入社しています。ただ、すぐに独立してソフト・ウェアの開発を手がけ、さらにハーヴァード・ロースクールで学び、弁護士や特許訴訟関係のコンサルタントとしてのキャリアを重ねました。その一方で作家活動も始めたということで、かなり多才な人です。ケン・リュウの作品の背景には中国や日本を含めた東アジアの歴史が反映されていることも興味深く思いました。
 この文庫本には「ケン・リュウ短篇傑作集1」というサブタイトルが付いています。続編の「ケン・リュウ短篇傑作集2」も、「もののあはれ」というタイトルで発刊されています。この2冊の文庫本の親本は「紙の動物園」というタイトルの単行本であり、15編の短編作品を集めた短編集です。編・訳者によると、文庫化に際して収録順を多少入れ替え、1巻目はファンタジィ篇、2巻目はSF篇といえるような構成にしたということです。(店主)

2017年11月9日木曜日

「母の友」2017年12月号が入荷しました!



 「母の友」2017年12月号の特集は「劇をするのはなぜだろう?」です。子どもは保育園や幼稚園などでよく劇をします。大人も観劇が好きな人は少なくありません。人はなぜ劇をするようになったのか。この特集を通じて考えてみましょう。
 子どもたちは年末のお楽しみ会などで劇を演じることがあるでしょう。おさなご保育園理事長などを務める徳永満理さんは保育現場の劇についてお話されています。劇を子どもの成長に応じて整理する考え方はとても分かりやすく、子どもに接するときの参考になりそうです。
 劇作家の平田オリザさんは人が劇をする理由について解説しています。諸説あるようですが、平田さんは、そもそもの発端は「伝える」ためと言っています。共同体としての記憶を伝えるため、劇が生まれ、それが洗練されていったと言います。平田さんのお話は「民主主義を支えるのは劇だ」というところまで広がります。
 今年は久しぶりに劇を観ることができました。小さい劇場で役者の息遣いを身近に感じ、とても楽しめました。この特集をきっかけに、劇場に行く機会をもっと増やそうと思います。(店主)

2017年11月8日水曜日

【本の紹介】てをつなぐ



 手がどんどんつながっていきます。最初に「ぼく」が「かあさん」と手をつなぎます。かあさんは「いもうと」と手をつなぎ、いもうとは「とうさん」とつながります。
 とうさんは誰と手をつないでいるのでしょう。ページをめくってみると「おばあちゃん」でした。おばあちゃんと手をつなぐ「おじいちゃん」は「しんぶんやさん」と、しんぶんやさんは「おまわりさん」と手をつなぎます。おや、次はオレンジ色の手袋をしています。いったい誰でしょう。またページをめくって見てみましょう。
 人はいろいろな人とつながって生きています。日本の中だけでつながっているのではありません。外国の人ともつながっています。数え切れないほどの人と人が描かれたページに目を見張ります。
 人間だけではありません。動物たちともつながっていることを忘れてはいけません。みんな、それぞれ形が違う。でも、地球の上に生きているのは一緒です。この絵本は、そう高らかにうたいます。(店主)

てをつなぐ
鈴木まもる

金の星社
本体1300円+税
2017年8月発行

2017年11月5日日曜日

【おすすめの1冊】しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん



 子どもは夜、寝るとき、あれこれいろいろ不安になります。そこで、敷布団、掛け布団、そして枕に「あさまで よろしくおねがいします」と頼みごとをします。何をお願いするのでしょう。
 敷布団には、おしっこが夜中に出たがったりないようにお願いします。掛け布団には、手と足を先の先まであたためてもらえるように頼みます。そして、枕には、おっかない夢を見ませんようにとお願いします。
 みんな「おれにまかせろ」といって、とても頼もしい。子どもも安心して眠れたようです。最後にお礼も、きちんと忘れずに言えました。
 おやすみ前にいかがでしょう。絵のとぼけた味がとても楽しい。リズミカルな文章は歌になりそうです。実際、歌になっていました。フォークシンガーの中川五郎さんが曲をつけて歌っています。「どうぞ裸になってください」というアルバムで聴くことができます。(店主)

しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
高野文子 作・絵

福音館書店
本体900円+税
2014年2月10日発行

2017年11月4日土曜日

【本の紹介】うし



 扉のページに牛がいます。何の変哲も無い、普通の牛です。白黒の斑模様です。後ろを向いています。
 ページをめくると、牛は後ろを振り返りました。なぜ、振り返ったのかは分かりません。またページをめくります。
 すると、牛がいました。同じような白黒の斑模様の牛です。さらにページをめくります。その後ろの牛も、後ろを振り返りました。理由は分かりません。するとまた、牛がいたのです。
 こうして、どこまでも牛が続きます。呆れ返るほど、牛がいます。最後に牛どもはいやになって一言発します。何と言ったか。それは絵本を読んでのお楽しみ。ナンセンス絵本の傑作です。(店主)

うし
内田麟太郎/詩
高畠純/絵

アリス館
本体1300円+税
2017年7月25日発行

2017年11月3日金曜日

「モンキー」vol.13 が入荷しています!




 文芸誌の「モンキー」voi.13 が入荷しています。特集のテーマは「食の一ダース 考える糧」。11人の作家による短編小説が集められています。一ダースに一つ足りない分は、これらの小説に登場する食べ物へのコメントで補いました。編集人のことばによると、美味しそうとはいいがたい話の方が、美味しそうな話より多数を占めているとか。ただ、どれも「いい味を出している」とそうです。どうぞ読み比べてみてください。本誌の編集人は翻訳家の柴田元幸氏です。柴田氏による「日本翻訳史 明治編」の後半も掲載されています。また、2016年のノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの受賞講演の翻訳も掲載されています。

2017年11月2日木曜日

【本の紹介】「いる」じゃん



 詩と絵で構成された絵本です。詩の言葉がストレートに、読む人の心に刺さります。絵は色彩を抑えてた描かれていますが、あたたかみが伝わってきます。
 詩は「だれかいるかー」という問いかけから始まります。一人ぼっちだった「地球」は、寂しくて仲間が欲しくなり、たくさんの仲間を生み出し賑やかになったといいます。「ぼく」も地球の真似をして仲間を見つけに行くのです。
 詩は、「いる」じゃん、で終わります。仲間はいっぱい、いるのです。この絵本は生を肯定し、今日も元気に生きていけるようにエールを送っていると思います。
 詩人・童話作家のくどうなおこが詩を書き、漫画家の松本大洋が絵を描きました。お二人は母子であり、親子による共作です。2017年11月3日から26日まで、松本大洋『「いる」じゃん』原画展が東京港区の Rainy Day Bookstore & Cafe で開催されています(http://www.switch-store.net/hpgen/HPB/entries/290.html を参照)。(店主)

「いる」じゃん
くどうなおこ 作
松本大洋 絵

スイッチ・パブリッシング
本体1600円+税
2017年7月7日発行

2017年11月1日水曜日

【本の紹介】詩ってなあに?



 作者はアメリカ人です。たぶんアメリカでは、詩は決して気取った存在ではなく、普通の人々も身近に親しんでいるのだろうと思います。詩の朗読会なども、街中でよく行われているようです。
 この絵本でもダニエルが、よく行く公園で「詩のはっぴょうかい」を知らせるポスターを見つけます。この公園が会場で、参加者を募集しています。でも、まだ子どものダニエルは「詩」が何だかわかりません。ダニエルは友だちに教えてもらおうとします。
 いろいろな答えが返ってきます。例えば、クモは「あさつゆの きらめき のこと」と言いました。ハイイロリスは「おちばの かそこそと なる おと」、シマリスは「ふるい いしの かべに、まどが たくさん ついている おうちのこと」と言っています。さて、詩って一体何でしょう。
 コラージュも使った深みのある絵が、私たちを詩の世界に導きます。あらためて詩とは何なのか、ダニエルと一緒に考えましょう。「はっぴょうかい」に参加したダニエルは、自分の答えを見つけたようです。(店主)

詩ってなあに?
ミーシャ・アーチャー
石津ちひろ 訳

BL出版
本体1500円+税
2017年6月20日発行

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...