「内航船」という言葉を初めて知りました。この絵本の「作者のことば」によると、外国と日本の港を往来する船を「外航船」と呼ぶのに対し、日本国内の港を結ぶ船を内航船と呼ぶそうです。
外航船と比べて、内航船は少し華やかさに欠けているように思います。とくに貨物船は、なおさら地味な存在になります。でも、作者はその存在に気づき、この絵本をつくりました。地道に働く貨物船への愛に溢れた絵本です。
この絵本に出てくる貨物船は、とても大きい。でも動かしているのは、船長を含めたった5人の船員です。とくに夜の航海は危険を伴います。この絵本でも、貨物船は大きなコンテナ船と危うくぶつかりそうになりました。でも、船長のおかげで難を逃れることができました。
貨物船は鉄の板を巻いたコイルというものを運びます。コイルの鉄の板は自動車や冷蔵庫などの材料になります。船長はコイルが雨や海水で濡れないように気を配ります。貨物船は無事に仕事を終え、また別の港に向けて出発しました。次は何を、どこからどこまで運ぶことになるのでしょう。(店主)
かもつせんのいちにち(かがくのとも2018年3月号)
谷川夏樹 さく
福音館書店
2018年3月1日発行
本体389円+税
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