【本の紹介】ひょうたんめん
お化けの「ひょうたんめん」と男の人の戦いをスピーディに描きます。男の人は「おとじろうまごじろう」という変わった名前。一人で二人分の名前を使っているようで面白いですね。ひょうたんめんはかなり強くて怖いお化けです。でも、おとじろうまごじろうも負けていません。両者の戦いの結末はどうなるのでしょう。
舞台は昔の「たねがしま」です。おとじろうまごじろうは馬を引いて塩を買いに行きました。帰りのさびしい山道、ひょうたんめんというお化けが出ると噂されている場所を通ります。馬を急がせますが、ひょうたんめんが登場。塩を食べ、馬を食べ、次はおとじろうまごじろうを追いかけます。
ひょうたんめんは怖いけど、少し間抜けなところもあるようです。松の木の上に逃げたおとじろうまごじろうの影が小川の水面に映ると、ひょうたんめんはその影をめがけて飛び込み、川底に頭をぶつけてしまいます。機知を働かせたおとじろうまごじろうは、ひょうたんめんから逃げ通すことに成功します。「ひょろり ひょろり」と帰っていくひょたんめん。おとじろうまごじろうの反撃が始まります。
鹿児島県の種子島に伝わる昔話を神沢利子さんが再話しました。リズミカルな文章で、テンポよくお話が進みます。赤羽末吉のダイナミックな絵がお話の展開をしっかり受け止め、読者を絵本の世界に引き込みます。ひょうたんめんは怖いけどユーモラス。哀愁も感じさせる、とても魅力的なキャラクターです。ひょうたんめんは最後にどうなったのか、とても気になります。本書は1984年発刊の「ひょうたんめん」(偕成社)を新たな装丁・編集で復刊しました。(店主)
ひょうたんめん
文 神沢利子
絵 赤羽末吉
復刊ドットコム
本体1850円+税
2017年11月25日発行
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