ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2018年5月31日木曜日

【本の紹介】いえすみねずみ




 家に住みついているねずみが主人公の翻訳絵本は何冊かあります。この絵本もその中の一冊です。
 ねずみたちと仲良くしたいのは子どもたちです。でも、大人はそれを許してくれません。大人がねずみの駆除をする前に、子どもたちはねずみに手紙を書きました。「きけんが せまっています こんや このいえから にげてください」
 子どもたちのおかげで、ねずみたちは難を逃れます。その後、夜の庭で遊ぶ子ねずみたちの姿を子どもたちが見ていました。やがて秋が来て、冬がそこまで来ています。とうとうねずみはいなくなり、子どもたちもねずみのことは忘れてしまいます。
 欧米では家の中でねずみを見かけることはめずらしくないのかもしれません。ジョン・バーニングの作品らしく、とぼけた味わいが微笑ましく感じられます。最後のひねりも効いています。子どもたちが成長したことの証でしょう。(店主)

いえすみねずみ
ジョン・バーニンガム 作
谷川俊太郎 訳

BL出版
本体1500円+税
2017年7月15日発行

2018年5月30日水曜日

【本の紹介】おむかえパパ


 子どもの送り迎えが毎日の生活の一部になっているご家庭は多いと思います。当たり前になっているその時間がとても貴重なひとときであることを忘れてしまわないようにしましょう。
 この絵本に出てくるパパは緑の愛車で子どもの送り迎えをしています。でも、ここのところ愛車はご機嫌斜め。今日も調子が悪いようです。
 さて、なんとかエンジンがかかり、無事出発することができました。パパはキスをして夕方お迎えに来るといっていますが、子どもはちょっと心配になります。「もし また くるまが うごかなくなったら パパは、おむかえに こられないよね」
 子どもを安心させようと一生懸命のパパが頼もしい。フランス人の作者によるこの絵本にはママが登場しません。テンポよく進むお話と、色使いが楽しいシンプルな絵。とてもおしゃれに仕上がった絵本です。(店主)

おむかえパパ
文 ナディーヌ・ブランコム
絵 オレリー・ギュレ
訳 中川ひろたか

主婦の友社
本体1200円+税
2017年2月20日発行

2018年5月27日日曜日

「暮らしの手帖」第94号をお届けします!




  「暮らしの手帖」第94号(暮しの手帖社)をお届けします。自転車を安全、そして快適に乗るための記事が掲載されています。子育て中で自転車を愛用している方は大勢いらっしゃいます。本号の「自転車について知ってほしい20のこと」が参考になりそうです。
 自転車は毎日の生活で、小さい子どもと一緒に移動する際にも便利な交通手段です。免許がなくても乗ることができます。でも、何より求められることは安全性です。自転車の事故は年間約9万件に及び、そのうち84%を自動車との事故が占めています。自転車と自動車の事故では当然、自転車側の被害が大きく、自動車側が99.9%無傷であるのに対し、自転車側は99.6%が死傷しているそうです。
 自転車も加害者になることがあります。歩行者や自転車との事故で賠償金が発生することもあります。1億円に近い高額賠償金の判決例もあるそうです。賠償金などの支払いで役に立つ自転車保険についても紹介されています。
 子どもを2人乗せられるのは「幼児2人同乗基準」に適合している自転車だけです。では、子供2人を乗せる際、前と後ろの座席のどちらを先に乗せるのがよいのでしょうか。正解は、後ろの座席に大きな子どもを乗せてから、前の座席に小さい子どもを乗せます。降ろすときは、前が先、後ろが後になります。子どもに自転車を乗るときの交通ルールを教えるのによい方法も紹介されています。それは、自転車に子どもを同乗させているときから親がルールを守ること。大事なことです。(店主)

「暮しの手帖」第94号

暮しの手帖社
本体857円+税
2018年5月25日発行

2018年5月26日土曜日

【本の紹介】にゅうしちゃん




 赤ちゃんの「おーちゃん」に最初の歯が生えてきました。子どもの歯の乳歯です。この絵本では「にゅうしちゃん」と呼ばれています。おーちゃんはこれからしばらく、にゅうしちゃんと一緒に成長していきます。
 にゅうしちゃんがやってくると、おーちゃんはご飯やお菓子も食べられるようになります。美味しいものが食べられるようになって楽しくなりますが、にゅうしちゃんが食べ物で汚れてしまうこともあるので注意が必要です。
汚れたままにしておくと、虫歯になってしまうからです。
 おーちゃんが大きくなるにつれて、にゅうしちゃんの兄弟は増えていきます。子どもの歯のことを教えてもらいながら、子どもの成長のようすを楽しみましょう。大人も子どもも一緒に楽しめそうです。
 おーちゃんがもうすぐ小学生になるころ、にゅうしちゃんたちとお別れのときがやってきます。役目を終えたにゅうしちゃんたちは、一人ずつおーちゃんから離れていきます。にゅうしちゃんたちがいなくなると、新しいお友だちがやってきます。「えいきゅうしちゃん」です。小学生になったおーちゃんがごあいさつしました。「これから どうぞ よろしくね」(店主)

にゅうしちゃん
さく・え minchi

岩崎書店
本体1200円+税
2018年4月30日発行

2018年5月25日金曜日

「モンキー」vol.14 が販売中です!




 文芸誌の「モンキー」voi.14 が販売中です。特集のテーマは「絵が大事」。絵本好きにはちょっと気になるタイトルです。
 本誌編集長の柴田元幸さんは巻頭言の「猿のあいさつ」で次のように書いています。
『言葉にいろんなビジュアル的要素を添えていくなかで、そもそも「言葉」に「絵」を「添える」という考え方が間違っているのであって、「言葉」と「絵」を組み合わせることで、足し算以上のものを作るんだ、と思うようになりました』
 これは文芸作品を念頭に置いて書かれたものと思います。「言葉」と「絵」の位置を置き換えれば、絵本にもそのまま当てはめることができるように思います。
 先達ともいえるウィリアム・ブレイクの「うた 無垢と経験の」が紹介されています。必見です。ブレイクはイギリスの詩人で、版画家・画家でもあります。小川洋子さんの文とジョン・クラッセンの絵による「訪問者」も、短いながら味わい深い作品です。(店主)


モンキー vol.14 SPRING 2018

スイッチ・パブリッシング
本体1200円+税
2018年2月15日発行

2018年5月24日木曜日

ビブリオパドルに参加しました!




 ビブリオパドルに参加しました。東京・国分寺市の絵本・児童書専門店の「おばあさんの知恵袋」に23日、絵本好きの仲間が集いました。参加者がテーマに沿った絵本を持ち寄り、紹介し合います。今月のテーマは「わくわくすること(もの)」でした。参加者は8人でした。
 私が取り上げた絵本は「サンドイッチ サンドイッチ」(福音館書店)です。サンドイッチのつくり方を、一つひとつ手順を追って丁寧に描きます。ふわふわパンを用意して、バターをたっぷり塗ります。まずレタスをのせて、次は真っ赤なトマト。それから、チーズにハムにゆで卵。読む人をわくわくさせながら、豪華なサンドイッチが完成します。
 今回取り上げられたそのほかの絵本は、「はじめてのキャンプ」(福音館書店)、「どろぼうがっこう」(偕成社)、「しりとり(こどものとも2018年6月号)」(福音館書店)、「よかったねネッドくん」(偕成社)、「ほしのはなし」(ポプラ社、品切)、「ハンダのびっくりプレゼント」(光村教育図書、絶版)、「The Book with a Hole」(Tate)でした。
 今回も個性的な絵本がそろいました。「ほしのはなし」は、ページが横、そして縦に広がり、両手で持ちきれないほどの大きさになります。夜空の広さが1枚の大きな紙で表現されています。通常のスタイルを逸脱したこの絵本の作者は北野武。残念ながら、現在品切になっているようです。「The Book with a Hole」は英語版が紹介されました。本を開くと大きな穴があります。その穴を中心に描いた、遊び心いっぱいの絵本です。(店主)

2018年5月23日水曜日

【本の紹介】すずちゃんののうみそ




 すずちゃんは保育園に通っていました。年長のゆり組さんになっても、すずちゃんはおしゃべりすることができません。スプーンもうまく使えません。急に泣いたり笑ったり、噛みついたりすることもありました。すずちゃんは脳に障害のある子どもだからです。
 でも、保育園のお友だちはすずちゃんと仲良くしてくれました。すずちゃんのママはそのことがうれしくて、すずちゃんが卒園するとき、お友だちに「すずちゃんのなぞ」(障害)についてきちんとお話したいと考えました。まず、お手紙を書きました。お手紙もいいけど、もっと楽しくしたいと思い、それを紙芝居にしました。紙芝居は多くの人に喜ばれました。そして、その紙芝居をもとに、この絵本が生まれました。
 すずちゃんは実際に障害を持って生まれてきた子どもです。すずちゃんの障害は自閉症スペクトラム(ASD)という名前がついています。また、すずちゃんには重度の知的障害もあり、小学2年生になっても発達段階は1歳半程度だそうです。
 この絵本は、すずちゃんのようすとともにASDの主な特徴を描いています。絵は丁寧に描かれ、心地よく感じられます。これらの特徴はすべてのASDの人に当てはまる訳ではありません。でも、すずちゃんのような障害を持った人について理解するよい手立てになると思います。障害について理解がさらに深まり、障害のある人をもっと身近に感じるようになるでしょう。障害者を普通の隣人として受け止めることこそ大切だと思います。(店主)

すずちゃんののうみそ
文 竹山美奈子
絵 三木葉苗
監修 宇野洋太

岩崎書店
本体1600円+税
2018年1月31日発行

2018年5月19日土曜日

【本の紹介】黄金りゅうと天女




 沖縄に伝わる昔話の絵本です。背中に天女を乗せた黄金色の竜が、海賊に襲われた島を救います。
 沖縄島の那覇で若い男女が夫婦になりたいと願っていました。でも、男は侍、女は百姓の生まれで、身分が異なり願いは叶いません。ある月夜の晩、二人は天女のお告げに従って舟に乗り、近くの慶良間(けらま)諸島の慶留間(げるま)島にたどり着きます。やがて二人にかわいい娘が授かり、可愛(かなー)と名付けられました。
 可愛が7歳になる誕生日、不思議なことが起こります。可愛は、慶留間島のとなりの阿嘉(あか)島から現れた黄金竜とともに姿を消してしまいます。やがて何年かが過ぎ、海賊が慶良間島や阿嘉島を襲います。島を救ったのは、竜巻とともに現れた黄金竜でした。島の人々は黄金竜の背中に天女を見たといい、その天女はきっと可愛に違いないと思って手を合わせます。
 絵を描いた赤羽末吉は「絵本よもやま話」(偕成社)でこの作品に触れながら、沖縄の色の美しさに強く感動したことを紹介しています。それにもかかわらず、この絵本の色使いはむしろ抑制されているように感じられます。登場する竜も線画で描かれ、黄金色といわれながら彩色はなく、とても控えめな存在です。でも、だからこそ、お話の美しい語り口が生きてくるように思います。一方、この絵本の最初の見開きページで、島々が黄色の海に囲まれていることに目を見張りました。南の太陽に光輝く海が、そこに描かれています。本書は1974年に銀河社から発刊された作品を復刊しました。(店主)

黄金りゅうと天女
代田昇 文
赤羽末吉 絵

BL出版
本体1400円+税
2018年3月20日発行

2018年5月18日金曜日

【本の紹介】かべのむこうになにがある?




 一人ひとりの心の在り様で社会は大きく変わります。大切なことは、この絵本が描くように、私たちが希望を持ち、自分自身を信じることだと思います。
 動物たちが大きな赤い壁に囲まれた世界で暮らしていました。知りたがりのねずみが壁の向こうに何があるのか疑問に思いますが、ねずみ以外にそんなことを考える動物はいませんでした。
 ある日、壁の上から空色の鳥が飛んで来ました。ねずみは鳥に乗って壁を飛び越えます。そこにはたくさんの色であふれる、夢のような世界がありました。ねずみと鳥は元の世界に戻ってきますが、不思議なことに壁がありません。鳥が教えてくれました。「そんなものは はじめから なかったのさ」
 うつくしい絵本です。絵はどのような手法で描かれたのかわかりませんが、落ち着きのある色の組み合わせが魅力的です。表紙カバーをとると、うれしいサプライズが待っていました。(店主)

かべのむこうになにがある?
ブリッタ・テッケントラップ 作
風木一人 訳

BL出版
本体1600円+税
2018年3月10日発行

2018年5月16日水曜日

【本の紹介】しんやくんのマラカス(こどものとも年中向き2018年6月号)




 友だちづくりを応援してくれる絵本です。しんやくんは駆け足で家へ帰ると、おかあさんに「きょうね ようちえんで おともだちができたんよ」とうれしそうに話します。おかあさんもうれしそうです。絵本の文章は福岡の言葉で語られます。
 しんやくんは幼稚園で、ほかの子どもたちが友だち同士で遊ぶ中、一人お砂場にすわって花の匂いをかいでいるような子どもです。しんやくんの幼稚園にはお砂場の上に藤棚があり、きれいに藤の花を咲かせていました。
 しんやくんは今日の朝も藤棚があるお砂場に行きました。すると向こう側に、しんやくんみたいに花のいい匂いをかいでいる子がいたのです。お昼ご飯を食べた後、しんやくんは小さなゼリーのカップを4つ持ってお砂場に向かいます。カプに砂を入れて2つ合わせて振れば、マラカスのようにいい音がします。朝の子も来ていました。しんやくんはカップを2つ、その子にあげました。
 カップでつくるマラカスは「カシャカシャ」といい音がします。目をつむって「カシャカシャ」すれば、空からいい匂いもしてきます。二人の間の距離はだんだん短くなりました。何もお話はしなくても、二人はもうお友だちです。(店主)

しんやくんのマラカス(こどものとも年中向き2018年6月号)
石川えりこ さく

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月13日日曜日

【本の紹介】ねられん ねられん かぼちゃのこ(こどものとも年少版2018年6月号)




 やっぱりおやすみ前に読む絵本でしょうか。「ねられん ねられん」といっていたかぼちゃの子が、最後には「もう ねまーす」と眠りにつきました。
 扉のページから登場したのはおつきさん。ぺーじをめくると、「はやく ねなさーい」とかぼちゃの子を諭します。でも、頭にかえるさんが乗っていては眠れません。おつきさんが「どいて もらいなさーい」といういと、かえるは案外素直にどいてくれました。
 ところが、今度は背中にいもむしさんがくっついていました。次々に眠れない理由が出てきて、かぼちゃの子はなかなか「おやすみなさーい」が言えません。
 シンプルな絵と一緒に、ほのぼのとした会話が繰り返し続きます。毎日忙しく過ごす大人も、一日の終わりに読めばきっと癒されることでしょう。(店主)

ねられん ねられん かぼちゃのこ(こどものとも年少版2018年6月号)
やぎゅうけんいちろう さく

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月12日土曜日

【本の紹介】10才のころ、ぼくは考えた。(たくさんのふしぎ2018年6月号)




 作者の「ぼく」は10歳のころ、石を集めていました。気に入った石は鍵付きの箱に、大切にしまっていました。
 ぼくは石たちが好きでした。遠くに放り投げたり足で蹴ったりして石と遊んでいると、石と仲良くなれるような気がしました。
 でも、ぼくは思います。石はぼくのことが好きなんだろうか? もちろん、ぼくは知っていました。石が考えたり感じたりすることはない。それは何故でしょう。石には命がないから? では「命」って何? ぼくは石を見て、命や死、そして今生きている自分が存在していることの意味を考えました。そして、どこまでも続くぼくだけの世界を生きていこうと思いました。
 作者のぼくだけではありません。誰もが目の前にある自分の世界を生きていかねければならないのです。この絵本がきっと、それを後押ししてくれるでしょう。ぼくは哲学者になり、この絵本の文章を書きました。哲学者の文章は読み始めから読み終わるまで、読む人の心を離しません。文章にマッチした美しい写真も心を打ちます。(店主)

10才のころ、ぼくは考えた。(たくさんのふしぎ2018年6月号)
下西風澄 文
浅井美紀 写真

福音館書店
2018年6月1日発行
本体667円+税

2018年5月11日金曜日

【本の紹介】たまごとにわとり(かがくのとも2018年6月号)




 鶏を飼育して肉や卵を得るための施設を養鶏場といいます。この絵本は卵を採るための養鶏場の一日を描いています。
 この養鶏場では鶏をワイヤーでつくられたケージに入れて飼育するのではなく、放し飼いで育てています。夜明け前のまだ暗いうちから「コケコッコー」という元気な鳴き声が響きます。やがて空が明るくなり、養鶏場の一日が始まります。
 朝ごはんのとき、めんどりがご飯を食べ始めても、おんどりはそれを見守るようにしばらく食べるのを待っているそうです。めんどりを守ることはおんどりの役目。卵を産まないおんどりも、きちんと仕事をしています。
 めんどりは朝食のあと、何度も水を飲みます。そのあと、地面をつついたり砂浴びをしたり、楽しそうな時間を過ごします。やがて、めんどりは卵を産むため、箱のような部屋に入ります。めんどりが卵を産むのは1日に1個だけです。たくさんの卵がある部屋は別々のめんどりが順番に産んだから。「作者のことば」によると、なぜか鶏に人気のある部屋があるのです。
 作者の棚橋さんは実際に養鶏場を営んでいるそうです。鶏のようすがとても詳しく描かれ、興味深く読むことができます。こんな養鶏場で産まれた卵はきっと美味しいに違いありません。(店主)

たまごとにわとり(かがくのとも2018年6月号)
棚橋亜佐子 さく

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月10日木曜日

【本の紹介】しりとり(こどものとも2018年6月号)




 しりとり遊びができる絵本です。基本的な遊び方は次の通りです。
 最初の見開きページから始めます。たくさんの絵が載っています。一つ選んでください。ページをめくると、またたくさんの絵が載っています。最初に選んだ絵としりとりができる絵を探して選びましょう。またページをめくります。またまたたくさんの絵が載っているので、2番目に選んだ絵としりとりができる絵を探して選びます。こうして最後のページまでしりとりができたらおしまいです。
 一つひとつの絵をみてみましょう。どの絵もシンプルながら味わい深く感じます。でも、子どもにとって馴染みの薄いものもあるようです。どうぞ大人が教えてあげてください。絵本と一緒に子どもとの会話がはずみます。
 とても面白いアイデアの絵本です。いろいろな楽しみ方ができそうです。どんなふうに遊べるか、子どもたちと一緒に考えましょう。しりとりが最後のページにつながらないこともあるようです。そのときは最初のページにつながるので、もう一度やり直してみましょう。(店主)

しりとり(こどものとも2018年6月号)
安野光雅 さく/え

福音館書店
2018年6月1日発行
本体389円+税

2018年5月9日水曜日

「母の友」2018年6月号が入荷しました!



 特集のテーマは「歯の健康と口の健康」です。「母の友」2018年6月号で子どもの口腔ケアについて学びましょう。  小児歯科医として35年のキャリアを持つ外木徳子さんが、気をつけたい生活習慣を詳しく解説しています。まずは虫歯の原因や予防方法の説明があります。子どもの歯磨きの始め方は具体的に解説されていて、とても参考になりそうです。  外木さんによると、子どもが健康な口を持つためには食事も大きく関わってくるようです。離乳食を進める際も子どもの月齢にこだわらず、一人ひとり異なる歯の生え方やあごの発達のようすをみることが重要と指摘されています。  そのほか、「歯みがきの歴史」や「歯、口、体の意外に深い関係」の記事も興味深く読みました。特集以外にも読み応えのある記事が満載です。どうぞお手に取ってご覧ください。(店主)


「母の友」2018年6月号

福音館書店
本体505円
2018年6月1日発行

2018年5月6日日曜日

「習志野の森」開放日イベントのようすが紹介されました!




 くわのみ書房も参加した「習志野の森」開放日イベントのようすが「ならしの朝日」(平成30年5月5日、第887号)で紹介されました。
 4月7日の開放日イベントで、くわのみ書房は絵本に触れ合うスペースを提供したほか、「森の朗読会」と題して高校生たちの協力も得て絵本の読み聞かせを行いました。
 習志野市泉町の「習志野の森」は旧日本陸軍の陸軍習志野学校という施設跡の一部で、千葉大学腐敗研究所として利用されていたこともある国有地です。公務員住宅の予定地となりましたが、森の消滅を憂えた地元の地域住民らが保存運動を展開し、現在の姿で残っています。
 この森に住民が入ることができるのは、保存運動に関わってきた「習志野みどりの会」が清掃活動を行う毎月第1土曜日と、年4回の開放日のみです。次回開放日は6月2日です。(店主)

「学校おはなし会ものがたり」を販売しています!


 習志野市の学校おはなし会の40年以上にわたる長い歴史をつづった「千葉県習志野市 学校おはなし会ものがたり」が刊行されました。子どもたちに本の楽しさを伝えたいと願った人たちの活動の貴重な記録です。市内の図書館に寄贈されたほか、くわのみ書房でも販売します。
 習志野市の学校おはなし会では、地域で文庫活動などに取り組む人たちが学校に出かけて行って本の読み聞かせなどを行っています。1970年に東習志野小学校で始まり、今では16校に及ぶ市内のすべての小学校で定期的に行われるようになりました。習志野市内の子どもたちはほぼすべて、学校おはなし会を通じて本と接する機会を持つことになります。
 発端をつくったのは東習志野に住む石田博子さんでした。石田さんは石井桃子が著した「子どもの図書館」(岩波新書)に触発され、家庭文庫の「ひまわり文庫」を自宅に開きます。本の貸し出しのほか、読み聞かせも行いました。
 文庫開設のほぼ1年後、家庭訪問の際にひまわり文庫のようすをみた東尾習志野小の若い教師が、その体験を担当する学級の子らと共有したいと願います。石田さんはそれに応え、自ら学校訪問することを提案。毎週、国語の1時限を使って本の読み聞かせなどを行うことになりました。学校おはなし会の始まりです。小さな流れは子どもたちの心を動かし、学校の先生方や市内の文庫関係者らを巻き込んで広がり、やがて大きな流れとなりました。
 本書は学校おはなし会や習志野文庫連絡会に長く関わった有志が編集・制作に当たりました。「あづまおはなしのへや」の会沢節子さん、「ぷーさんのおはなし会」の石川元代さん、「袖ヶ浦児童文庫」の岩城昌子さん、「香澄文庫」の小柳津一枝さん、「たけのこおはなし会」の望月理子さんの5人です。残念なことに、学校おはなし会のきっかけを作った石田博子さんは本書の発刊を見る前に逝去されました。本書を通じて、石田さんのほか学校おはなし会の立ち上げに関わった多くの人たちの思いが次世代に伝わることを祈ります。(店主)

「千葉県習志野市 学校おはなし会ものがたり」
編集・発行:習志野市学校おはなし会記録有志の会
頒価500円
2018年3月30日発行

2018年5月5日土曜日

【本の紹介】チョプラン漂流記 お船がかえる日




 この絵本のお話は実話に基づきます。江戸時代、蝦夷地の箱館(現在の北海道・函館)から一艘の帆船が江戸に向かいます。やがて海は大シケとなり、帆はちぎれ、方向を見失った船は漂流を続けます。たどり着いた陸地は日本から遠く離れた台湾の「チョプラン」と呼ばれる場所でした。
 絵本では一人の少年が登場します。少年の名前は市松。江戸に学問を学びに行くため船に乗りました。そのほか船には、船頭の文助と8人の水夫が乗っていました。市松たちを乗せてきた船は、チョプランに漂着した日の夕刻、荒れた海の大波にさらわれ、大破します。文助たちは覚悟を決めました。「ここで生きていくしかない」
 チョプランの生活はきびしいものでした。水夫たちは次々と病に倒れ、残ったのは市松と文助の二人だけでした。市松はチョプランの生活にすっかり馴染んでいましたが、文助はやはり日本に帰りたいと思っていました。5年の月日が流れ、二人が帰国できる可能性が高まります。でも、市松の心は複雑です。チョプランは、市松にとって故郷といってよい場所になっていたのです。
 江戸時代に文助という船頭が、この絵本に描かれたような漂流を体験し、その記録が残っているそうです。その時代、海の向こうで世界がつながっていることを体験した人は、現代の私たちに何を語ろうとしているのでしょう。同じ作者による「淀川ものがたり お船がきた日」「長崎ものがたり お船が出る日」に続く「海と船の三部作の完結作です。それぞれ迫力ある絵で世界の広がりをダイナミックに描いています。(店主)

チョプラン漂流記 お船がかえる日
小林豊 文・絵

岩波書店
本体1800円+税
2018年7月19日発行

2018年5月3日木曜日

【本の紹介】チェコの十二ヵ月-おとぎの国に暮らす-




 絵本作家の出久根育さんによるエッセイ集です。チェコの首都、プラハに暮らす出久根さんが、日々の生活の中で思ったこと、感じたことを瑞々しい感性で描きます。
 チェコは日本人にとって、あまり馴染みのある国ではないかもしれません。出久根さんもあとがきで、20年ほど前に初めて訪れたプラハでは、「重々しい空気をただよわせ」、新参者の観光客には「まるで愛想が無く」、「外国人には不親切で意地悪な国」という印象だったと書いています。
 でも出久根さんは、その数年後には「突然の決断」でプラハに移り住み、その街が自分の生活風景になったと書くまで溶け込むようになりました。このエッセイ集では、チェコの季節が移り変わるようすや季節ごとの行事、人々との交わり、食べ物などが愛情豊かな文章で綴られています。ところどころに挿入されている描き下ろしのイラストも素敵です。
 このエッセイ集は理論社のウェブサイトに「無理のないペース」で連載している「プラハお散歩便り」から生まれました。連載は2006年6月からスタートし、現在も続いています。(店主)

チェコの十二ヵ月-おとぎの国に暮らす-
出久根育

理論社
本体1500円+税
2017年12月発行

2018年5月2日水曜日

【本の紹介】いっしょにおいでよ




 絵本は女の子がテレビのニュースをみているところから始まります。ニュースは人々がにらみ合って怒っていると伝えています。世界のあちらこちらに、この国から出て行けと大声で怒鳴っている人がいるのです。
 今、世界は人々のいがみ合いが絶えません。それがテロやヘイトスピーチといった悲しい事態を引き起こしていることを、多くの人々が知っています。ニュースをみていた女の子はこわくなりました。
 でも、こわがっているだけではありません。女の子は「こんなのっていやだ」「こんなせかいはいやだ」と思い、世界に向けて小さな一歩を踏み出します。そんな女の子をやさしく見守るおとうさんとおあかさんにも心を打たれます。
 翻訳はとても美しく読みやすい文章になっています。柔らかなタッチの絵にも親しみを感じます。世界の人々がいがみ合わないようにするため、私たちは何をすればよいのでしょう。この絵本は「こころを ひらいて まわりの ひとや いきものたちにも しんせつに」することと教えてくれます。決してむずかしいことではなさそうです。最後のページで女の子は「いっしょに おいでよ」と呼びかけています。読み終えると、ジョン・レノンの「イマジン」のメロディが聞こえてきました。(店主)

いっしょにおいでよ
ホリー・M・マギー 文
パスカル・ルメートル 絵
なかがわちひろ 訳

廣済堂あきつき
本体1500円+税
2018年4月30日発行

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...